超高層ビルの揺れ、想定2倍の恐れも 長周期地震動
2011年3月6日10時57分

東海、東南海、南海地震が連動して発生すると、東京、大阪、名古屋の3大都市圏の超高層ビルは、想定より1.2〜2倍大きな長周期地震動に襲われる可能性があることが日本建築学会の調査でわかった。
崩壊するおそれはほとんどないが、4メートル幅で5〜10分間揺れるビルも予想された。事前の補強で、被害が大幅に減らせるとしている。4日発表した。

内閣府の委託で日本建築学会が2007年から調べた。

三つの巨大地震の発生確率は30年以内に60〜87%と推定されている。もっとも大きい「3連動型」で、関東、濃尾、大阪平野で生じる揺れを最新の方法で計算。
その結果、現在の設計で長周期地震動として想定している揺れを、平均で2〜3割上回ることがわかった。予測にはばらつきがあり、大きい場合は関東と大阪で5割増し、濃尾では2倍近くになった。

揺れは想定を超えたが、余裕を持って建設しているので、いずれの都市圏でも既存の超高層ビルが崩壊する可能性はほとんどないという。

ただし揺れ方や損傷度は建物ごとに違う。建物と地面の揺れやすい周期が一致すると、梁(はり)の端が折れたり、傾いたままになったりするなどのおそれがある。

日本建築学会は、制震部材を入れるなど、事前の補強で被害は劇的に減らせるとしている。
被害を受けやすい建物は100棟以下と推定されるので、耐震診断をして、大規模修繕の際に耐震補強をあわせて行い、工期や費用を節約することを勧めている。

「今回は推定の一例だが、技術的にわかったことを、国土交通省にも伝えていく」としている。(瀬川茂子)