22日付の英紙ガーディアンで環境コラムニスト、ジョージ・モンビオ氏は「なぜフク
シマは私の不安を取り除き、原発を許容させたのか」と題して「原子力は想像できる範
囲で最も厳しい試練に直面しているが、人類や地球への影響は小さい」と指摘している。

モンビオ氏は地球温暖化に警鐘を鳴らしてきた環境派だ。温暖化対策のため温室効果ガス
を出さない原子力を見直す動きには距離を置いてきたが、福島第1原発事故を目の当たり
にして原発推進派に転じたと打ち明ける。

「不十分な安全機能しかない老朽化したポンコツ原発を怪物のような地震と巨大津波が襲
った。原発は爆発し炉心溶融を始めたが、知り得る限り誰一人として致死量の放射線を浴
びていない」と語り、環境保護派は放射能汚染の被害を誇張し過ぎているとも批判する。

モンビオ氏はまた、「エネルギーは薬と同じでどんなものでも副作用を伴う」と指摘。
太陽光など、再生可能なエネルギーを促進する必要はあるものの、原発による電力供給を
すべて再生可能エネルギーに置き換えることはできない。

環境保護派は風や川の流れをエネルギーに転換する牧歌的な理想を唱えるが、水力発電
は川の流れをせき止め自然環境を破壊する。 英イングランド地方では1800年に
1100万トンの石炭が産出されたが、これと同じエネルギーを得ようとすれば
4万4500平方キロメートル超の森を切り倒す必要があるという。

モンビオ氏は「原発を廃止したらそれに代わるのは森でも水でも風でも太陽でもな
く化石燃料だ。石炭は原発の100倍の害をまき散らす。原子力産業のウソは嫌い
だが、フクシマは私を原発信者に改宗させた」と結ぶ。