東北電力の女川原発がぎりぎりにではあれ生き延びて、被災者さえ受け入れ、
東京電力の福島原発が運転停止中のものも含めて全面的に即死した。
いずれにも、大規模な烈震と津波が襲いかかっていながら、結果は異なっている。

原発立地の選択、ECCSはもちろん、付帯設備まで含めた安全対策の現実、
実際の安全管理業務の内実まで含め、比較対照されなければならない。
女川原発は、三陸沖地震の発生の可能性を、具体的に検討して設計され、
福島原発は、近隣での地震発生の可能性を、最小限にまで黙殺して設計された。
そのことは、もはや隠せない事実だ。

老朽化した原発を経済優先で使い続けることと、首都圏の電源需要拡大とを、
同時に進めるという矛盾した経営路線も、あらためて焦点化されなければならない。
危険性を覆いながら、集中立地で原発の経済的優位性を装うことはもう不可能だ。

東京電力は、この事故の事後策がどうあれ、被害を一社で引き受けることはできない。
もはや経営破綻した管理会社として、直接の国家政策のもとで運営されるだろう。
今後は、首都圏の省エネルギー政策の具体的実施とともに、
電力開発の小規模化、分散化を進め、真の意味でのスマートグリッドの実現に向けられねばならない。