中国原潜、第1列島線突破 日米警戒網の穴を突く
産経新聞 12月31日(金)1時50分配信

中国海軍の原子力潜水艦が昨年2月ごろ、
九州−台湾−フィリピンを結ぶ第1列島線を突破していたことが分かった。複数の政府筋が30日までに明らかにした。
沖縄県の宮古島、与那国島間を通過したとみられる。
警戒網の穴を突かれたことに日米両政府は強い衝撃を受け、中国潜水艦の監視網を強化。
「防衛計画の大綱」で潜水艦増隻や島嶼(とうしょ)防衛強化に踏み切る転機にもなった。

第1列島線を突破した原潜は、平成16年にグアム島からの帰路に日本領海を侵犯した際と同型の「漢(ハン)級」だった可能性が高い。
16年は出港時から米国衛星などが探知し、米原潜や海上自衛隊のP3Cが継続して監視しており、ノーマークで突破されたのは初めて。

東シナ海での中国の潜水艦探知・追尾のオペレーションで、海自は複数の艦艇を配置。加えてP3C哨戒機を飛行させ、周辺海域を隙間なく監視できる態勢をとる。
ところが、昨年2月ごろは原油高騰の影響もあり、海自はP3Cの飛行回数を抑え、監視ポイントも減らしていた。

中国側は偵察活動により艦艇とP3Cの監視位置を把握した上で監視網の穴を見つけ、原潜に第1列島線を突破させたとみられる。

原潜は中国・青島(チンタオ)から出港したとみられるが、グアム島近傍に進出するまで探知されなかった。
宮古−与那国島間の海域は遠浅で大型原潜の潜航には適さないことから、今回の突破により、中国海軍が海洋調査により海底地形を熟知していることが裏付けられた。
静粛性を高めるなど能力を向上させた可能性も大きい。