中電・上関原発建設計画 「目の前に原発、許せない」 /広島
http://mainichi.jp/area/hiroshima/news/20090808ddlk34040554000c.html

 ◇離島・祝島の被爆者や元労働者「二度と核の犠牲はごめんだ」

 山口県上関町に中国電力が建設を計画している上関原発に対し、対岸約4キロの離島、祝島に住む被爆者や
元原発労働者たちが建設中止を訴えている。建設予定地は広島市から約80キロ。島民たちは「二度と核の
犠牲になるのはごめんだ」と声を上げている。

 中電は出力137・3万キロワットの原子炉2基の建設を計画。1号機は来年度着工、15年度運転開始予定で、
今年4月、敷地造成工事が始まった。これに対し、祝島では約500人の島民の多くが反原発で結束。毎週月曜に
島内を練り歩く反対デモは82年から1040回を超えた。

 島に住む酒井キヨ子さん(84)は、戦時中、現在の東広島市にあった旧陸軍補給部の施設に配属されていた。
原爆投下の日は、たまたま島に帰っていたが、翌日に配属先に戻るために広島市に入り、被爆した。

 焼け野原に止まった路面電車では女性が座ったまま死んでいた。おかっぱ頭がほこりで真っ白になった女学生の
遺体も見た。道には、真っ裸の赤ん坊の死体がキューピー人形のように転がっていた。8月11日から終戦までは、
広島市内の陸軍被服廠(しょう)の倉庫で、重傷者の救護にあたった。

 「被爆地のあの惨状を見た者として、目の前に原発ができるのは許せない」。島には他にも数人の被爆者が暮らす。
酒井さんは80歳を超えた今も、建設反対の座り込みなどに参加している。