<東京原爆症訴訟>国が判決を受け入れへ 全面解決へ一歩
6月9日2時30分配信 毎日新聞

厚生労働省は8日、
国に申請を却下された被爆者10人のうち9人を原爆症と認めた5月28日の東京高裁判決(1審・東京地裁)について、上告しない方針を固めた。
舛添要一厚生労働相が9日発表する見通し。
判決受け入れにより、肝機能障害など認定対象ではなかった病気にも救済の幅が広がることになり、全国で約300人が提訴した集団訴訟の全面解決への一歩になる。

国の上告見送りは昨年5月の仙台、大阪両高裁、今年5月の大阪高裁に次ぎ4件目。28日の東京高裁判決は原告数では最多となる。
今回は肝機能障害、甲状腺機能低下症、ガラス片を体内から取り除いた後遺症など、現行の認定基準から外れる病気が含まれている。

全国の原爆症訴訟は最高裁に2件、高裁に7件、地裁では12件が係属中。
判決で原告は9割以上が実質勝訴しているが、未認定でまだ、判決を受けていない原告も約60人いる。

原告側は、訴訟の全面解決の手順として、上告断念に加え、認定基準の緩和と、敗訴分も含む原告全員の救済を求めている。
舛添厚労相が9日に原告団と面会して要望を聞いたうえで、政府内で具体策の検討が本格化するとみられる。