岡山の「グリーン・ニューディール」 環境に託す地域の夢
http://mainichi.jp/select/opinion/newsup/news/20090204ddn005040045000c.html

 太陽光や風力など再生可能エネルギーを振興し、地球温暖化の防止と産業創出の両立を
目指す政策が、世界的に期待を集めている。米国のオバマ新大統領は「グリーン・ニュー
ディール」を政策として掲げた。日本でも、瀬戸内の穏やかな自然に包まれた岡山県の山
あいに、環境保護と地方経済の活性化、さらには雇用創出も期待できる「グリーン・ニュ
ーディール」の小さな種が育ちつつある。


 岡山県備前市は瀬戸内海に面する人口約4万人の小都市だ。その山間部・旧吉永町に
「備前グリーンエネルギー」(グリーン社)はある。温暖な気候に恵まれて日照量が多く、
太陽光発電にぴったりの環境。周囲の中国山地には豊富な森林があり、木くずをバイオマ
ス(生物由来の資源)燃料として使える。グリーン社はこの好条件を生かし、再生可能エ
ネルギーの事業化に取り組む。

 吉永町の旧町議会棟の一室に事務所を構え、社員4人とパート3人が勤める。市や住民
団体が後押しし、環境省の支援も得ている。

 吉永町には以前、産業廃棄物処分場の建設計画があったが、住民の反対運動で03年、
撤回された。反対した住民らは「吉永・水と森と里山の会」を結成する。「マイナスをゼ
ロにするだけでなく、ゼロをプラスにする運動もしたい」と、さらに環境問題に取り組ん
だ。会の副会長、久次幸子さん(63)は「『バイオマスって何』と、一から勉強しまし
た」と振り返る。

 住民の相談を受けたNPO法人「環境エネルギー政策研究所」(東京都)の飯田哲也所
長は、再生可能エネルギーの会社設立を勧めた。飯田所長は、北海道や長野県でも風力や
太陽光発電の事業化にかかわった実績がある。