三菱重工 1%からの挑戦 欧州に太陽電池工場検討
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200901280008a.nwc

 三菱重工業は、欧州に太陽電池の大型工場を新設する検討に入った。年産能力は現在の4倍超に
あたる最大50万キロワット規模を想定、投資額は最大700億円を超える見込み。早ければ20
09年度中にも着工する。太陽電池は風力発電などとともに地球温暖化対策として世界的に導入機
運が高まっており、新規参入や増産の動きが相次いでいる。三菱重工は同市場では下位に位置する
が、最大需要地である欧州に量産拠点を設け、シャープや三洋電機など先行メーカーに対抗する。
同社が海外で太陽電池を生産するのは初めて。

 生産するのは「微結晶タンデム型」と呼ばれる薄膜系太陽電池で、従来型の結晶系に比べて確保
が困難になっているシリコン原料の使用量が約100分の1ですむ特徴がある。発電出力は結晶系
に比べて劣るものの、同じ薄膜系のアモルファス型に比べて1.5倍高い。

 次期工場は欧州地域に建設する考えで、年産能力は同20万〜50万キロワットの範囲を想定し
ている。欧州ではドイツ、スペインに続き、イタリアも太陽光で発電した電力を割増料金で買い取
る「フィールド・イン・タリフ制度」を導入。今後も市場急拡大が続き事業採算が見込めるとみて
おり、立地点選考を急ぐ。円高対策として海外立地が不可欠との判断も働いた。

 最大4倍超の大型工場の建設検討に入るのは、現在の規模のままでは高成長を遂げる市場で商機
を逸しかねない、との危機感が背景にある。三菱重工の世界シェアは1%未満の水準とみられる。
トップ企業が10%前後のシェアを持つ市場にあって、量産によるコスト競争力をつけることは不
可欠な課題になっていた。

 三菱重工は同じく再生可能エネルギーの風力発電機では、国産唯一の大型機メーカーとして欧米
勢と世界市場でわたり合う。風力発電機と太陽電池をセットで売り込める世界でもまれな企業にな
り得る可能性を秘める。太陽電池は投資が巨額なため慎重に検討を進めるが、地球環境への貢献を
標榜する企業として戦略事業になりつつある。