防げたトラブル、安全への甘さ浮き彫り
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2009/20090207104606.asp

 六ケ所再処理工場で立て続けに起こった高レベル放射性廃液漏れは、日本原燃の安全管理体
制の甘さを浮き彫りにした。二度の漏えいは「配管の中に廃液があるはずがない」といった思
い込みがなければ、防ぎ得たトラブル。システムそのものの課題も透けて見える。県は原燃の
対応を見守る構えだが、県議会内からは「起こしてはいけないことを繰り返している。県議会
全員協議会や県民説明会を開き、原燃の安全体制を検証するべきだ」との声も出ている。

 使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムとウランを取り出した後に残る廃液。核分裂生成
物を含み、放射能レベルが極めて高いため、ほかの廃液とは区分し、ガラスに溶け込ませて金
属容器(キャニスター)に封入するガラス固化処理をする。県によると、六ケ所再処理工場に
は現在、およそ二百四十立方メートルが貯留されている。

 約百五十リットルの廃液が、セル(コンクリートで密閉した部屋)内に漏れた最初のトラブ
ルの発覚から二週間が過ぎたが、原燃は依然原因を突き止められていない。

 二つの配管からの漏えいは、誤って通常の三倍以上の圧縮空気がタンクに入り、廃液が配管
に流れ出したことが直接の要因。だが「なぜ空気の量が増えたのか」は不明のままだ。原燃は
(1)作業員が何らかの形で操作機器に触れた(2)配管内に詰まっていた異物が偶発的に取
れた−可能性を挙げる。

 仮に(1)なら、猛毒の高レベル廃液を扱う工場として大きな問題。(2)でも構造上の欠
陥が疑われる。ほかに装置そのものが誤作動したことも考えられる。

 警報に対する反応の鈍さも表面化した。一月中旬にはセル床面の受け皿に廃液がたまり始め、
再三警報が鳴ったにもかかわらず、原燃は結露水などと思い込み、直ちに成分を調べることを
しなかった。「ここには日常的に水がよくたまる」との弁解は、高濃度の放射能を扱う事業者
としての資質を疑わせる。