『ふげん』解体進む 原発、廃炉の時代へ   2009年1月20日
http://www.chunichi.co.jp/article/technology/science/CK2009012002000156.html

撤去まで20年

 日本海に面した敦賀半島にある「ふげん」は出力十六万五千キロワット。一九七九年に運転開始、
二〇〇三年に停止した。〇八年からは「原子炉廃止措置研究開発センター」に正式名称を変更。二八年
度まで使用済み燃料搬出、原子炉周辺設備の解体撤去、原子炉本体の解体撤去、建屋解体−のステップ
を踏んで廃止措置を終える。

 ふげんは一般的な百万キロワット級の原発に比べ小型。普通の原発が熱を取り出す冷却材に水(軽水)
を使っているのに対し、重水を使用。原子炉の構造も、軽水炉にあるお釜のような「圧力容器」がなく、
圧力管という二百二十四本の管が林立し、中に一体ずつ燃料がある。

 同センター技術開発課長の森下喜嗣さんは「軽水炉はお釜の中の燃料をごそっと取り出せば、あとは
お釜だけが残る。ふげんは燃料を運び出してもまだ管があるから、炉心がややこしい構造のまま残る」
と、ふげん廃炉の特徴を話す。

 材料も、軽水炉は主にステンレス鋼だが、ふげんはジルコニウム合金を使用。酸化しやすい、つまり燃
えやすいため解体時の切断作業では軽水炉以上に注意が必要だという。

 国内での廃止措置は、ふげんが初めてではない。原子力機構の前身・日本原子力研究所の動力試験炉
(茨城県東海村)が一九九六年三月に解体撤去を完了。日本原子力発電の東海発電所(同)が二〇〇一年
に作業を始め、一七年に完了する。

 ふげんは三例目になるが、副所長の渋谷進さんは「ほかの炉は規模がもっと小さかったり、運転期間が
短く放射能の蓄積が少なかったりする。東海はガス炉で、水炉とは構造や原理がまるで違う」と説明。今
後の原発廃止措置には、ふげんでの知見がより役立つのでは、と話す。