連載【原発自治体の未来】2)プルマーサル
http://mytown.asahi.com/niigata/news.php?k_id=16000000811050004

●静岡県御前崎市
 静岡県御前崎市にある中部電力浜岡原子力発電所。10年夏からプルサーマルの導入が決定し
た4号機に入ると、核燃料置き場のそばにA3サイズの穴が見えた。「この穴にMOX燃料(プ
ルトニウム・ウラン混合酸化物)を入れ、カメラで傷がないかどうか確認します」。広報グルー
プの西田勘二専門部長が説明した。
 原子炉でウランを核分裂させると、毒性の強いプルトニウムができる。これをMOX燃料に変
え、再び原発の燃料として使うのがプルサーマルだ。ウランはすぐそばまで作業員が近寄れるが、
MOX燃料は放射能が強いため、ビデオカメラでの点検が必要になる。工事は完了し、現場は、
この「新型燃料」の到着を待つばかりになっている。
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 御前崎市がプルサーマルの導入を認めたのは今年2月。浜岡原発関連の固定資産税が減少し、
市財政が悪化していた。市の税収ピークは5号機が稼働した翌年(06年)の115億円。減価
償却が進むにつれて固定資産税が年約5億円ずつ減り、10年度には93億円となる。
 76年の1号機稼働以降、原発が増設される度、国から多額の原発関連交付金を受け取ってき
た。しかし、敷地はすでに満杯で、これ以上の原発は建てられない。そんな中、市が選んだのが
プルサーマルだった。
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 プルサーマルの導入で、地元経済は活性化するのか――。市商工会の原田旭会長は「そんなこ
とはありません」と笑った。導入にあたって原発の大規模な工事は必要ない。中部電力によると、
必要なのは検査台の改造のみ。地元企業への発注が大幅に増えることはないという。