「日本一おいしい水道水」へ温度研究 名古屋市
2010年1月3日 朝刊

「日本一おいしい水」を目指す名古屋市が、夏場の水道水を冷たくする研究に乗り出す。
全国の自治体でも珍しい試みで、家庭の蛇口から出る水の温度を厚生労働省が定めるおいしい水の基準である20度に近づけるのが目標だ。

おいしい水の実現は河村たかし市長の選挙公約で、昨年6月に研究会を設置。
民間のアドバイザーから「夏場の水道水は温かく、飲みたくない」との指摘が出たため、昨年中にまとめた報告書に、これまで手付かずだった「水温管理の研究」を挙げた。

体温より15度低い20度の水がおいしいとされるのは、清涼感があるため。
ところが夏場に市内20カ所で水道水の温度を測ってみると、平均で25・7度。
マンションの貯水槽が直射日光を浴びると30度を超えることもある。

水温が高いと塩素などのにおいが出やすくなる上、味も損なわれ、若年層を中心に飲み水の“水道離れ”が進む一因になっている。

水温が上昇する詳しいメカニズムは不明。
ただ市によると、水源の木曽川で取水後、導水路を通って処理施設に届くまでは比較的水温が低いが、施設内にとどまるうちに水温が上がる傾向がある。

このため水をろ過する浄水場や一時貯留する配水場での水の滞留時間を短くし、なるべく早く家庭へ“出荷”できるよう処理施設の運用方法を改善する。

さらに水道水は水道管を流れる間に、管を通じて地中や路面の温度の影響を受ける。
耐震強化のため管を取り換えるのに合わせ、温度変化の影響を受けにくい材質の管を採用できないかも今後、検討するという。