あっぷるLINK:社会・地域 ユビナガコウモリ保護−−目屋ダム /青森
2月4日11時1分配信 毎日新聞

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◇共生へ「人工洞穴」に移転−−生息地ごと、初の試み
総事業費約1600億円をかけて2016年度に完成予定の津軽ダム(西目屋村)の本体工事開始が今秋に迫る中、
工事予定地内にある目屋ダムの仮排水トンネルに生息し、個体数減少が危惧(きぐ)されるユビナガコウモリの保護に注目が集まっている。
国土交通省津軽ダム工事事務所はダムに隣接して設けた人工洞穴へコウモリを「引っ越し」させる作戦に着手した。
希少動物を生息地ごと移転させ、ダム建設と生態系保護の両立を図るユニークな取り組みを追った。【太田圭介】
ユビナガコウモリは体重10〜17グラム、翼を全開したときの横幅は29〜34センチで、コウモリとしては中型の部類に入る。
県内が生息の北限とされ、県レッドリストでBランク(県内で絶滅の危機が増大している野生生物)に登録されている。
目屋ダムは1960年に完成したが、津軽ダム完成後は仮排水トンネルとともに水没する運命にある。仮排水トンネルでは昨秋、約2000匹のユビナガコウモリ生息が確認された。
県内では他に、深浦町の洞穴2カ所で生息している。
「新居」となるのは「コウモリボックス」と名づけられたコンクリート製人工洞穴(高さ4メートル、幅4メートル、長さ50メートル)だ。
5000万円を投じて設置工事を行った同事務所によると「ユビナガコウモリは高速で飛び回るため、最低限4メートル四方の大きさが必要だった」という。
津軽ダムに沢水を導く地下水路から分岐する形で設置され、地下水路部分と合わせると全長は約95メートルに達する。