浜岡原子力発電所1号機 制御棒駆動機構
ハウジング部からの漏えいに関する原因と対策について
平成14年4月24日
中部電力株式会社
http://www.chuden.co.jp/press/saisin/fr_hamaoka.html

1.漏えいの概要

 1号機配管破断事故(平成13年11月7日発生)の調査のため原子炉を
停止した後、原子炉格納容器内の点検を行った際、制御棒駆動機構ハウジング
1本の下部から、数秒間に1滴程度の水滴が落ちているのを発見しました。
なお、今回の事象による外部への放射能の影響はありませんでした。
(平成13年11月 9日発表)
 その後の調査で、スタブチューブ下部溶接部に発生したき裂が進展し貫通
したことによる水漏れであることが分かりました。
(平成13年11月26日発表)
 漏えい部位の水中テレビカメラによる点検の結果、き裂は細かい折れ曲がり
が多数有り全体に湾曲していました。
 また、今サイクルの格納容器内の漏えい監視データを改めて整理・評価
したところ、明らかに7月上旬以降は当該部からの原子炉水の漏えいが
あったと判断しました。従って運転中の監視データを詳細に分析すること
なく季節変動と判断したことは適切ではありませんでした。
(平成13年12月25日発表)
 なお、原子力安全・保安院による国際原子力評価尺度(INES)
暫定評価では、0+とされております。

2.試験片(ボートサンプル)の金属調査結果

き裂部から採取したボートサンプルの断面写真
金属調査の結果、き裂は多数の枝分かれを伴い、粒界に沿って進展しており、
応力腐食割れの特徴を有していました。
(平成14年2月20日発表)

3.応力腐食割れの発生要因の調査結果

応力腐食割れは材料,環境,応力の3要因が特定の条件で重なったときに発生
する可能性があります

4.原 因

○ 応力腐食割れの3因子(応力、環境及び材料)が重畳し、粒界型応力
腐食割れによりき裂が進展して貫通に至ったものと推定しました。
しかしながら、1号機残り88本、2号機全数137本に異常はなく、
さらに国内外の発生事例を調査したが、当該を含めて2本のみであることを
確認しました。

5.対 策

○ 当該制御棒駆動機構ハウジング及びスタブチューブを取替えます。
(溶接材料には耐食性に優れたインコネル82を使用)

○ 早期に漏えいが検知できるよう、漏えい監視データの詳細分析等の運転
管理を適切に実施します。
(平成13年12月25日発表)

○ 同様な事象が発生した場合、漏えいは適切に検知でき、原子炉を安全に
停止することは可能ですが、原子炉内の環境改善(水素注入)を引き続き
実施するとともに、応力改善の予防保全技術について検討いたします。
(水素注入により原子炉内の溶存酸素濃度が低下し、応力腐食割れの発生・
進展が抑制される)