確かに平沢は怪しいし、彼が事件に関与している可能性は、
非常に高いと思う。
無実なら彼を最も信じてしかるべきはずの家族や、彼を本気で
助けようとした弁護士らが、結局彼を見放してしまった事実が、
そのことを証明している、といえる。

ただし、仮に彼が実行犯だったとしても、依然として謎は残る。
冷静沈着に行員らを毒殺した後、とたんにあわてて(?)金庫
の大金には手をつけずに逃走し、しかも翌日の午後に小切手
を換金に行くなどという馬鹿げたことを、金融機関に詳しい
平沢がやってしまうとは、とても思えない。

「殺人を犯して正常な精神状態ではなかった」という説明だけ
では到底納得きるものではない。
やはり事件は複数の人物が関係しているのではないか?
少なくとも確定判決どおりのストーリーではないだろう。
であるならば、やはり再審して事件の真相を徹底的に調べ
直す必要があると思う。