虐めの報復は意外と簡単だ。
一番狙いやすいのは下駄箱の靴だ。
画鋲、ガラス片、墨汁、動物の死体、糊、木工用ボンド、釘、何でも入れたさ。
同時一斉に仕掛けたもんだから学校が問題視して二度も全校集会を開いた始末さ。
皆、疑心暗鬼になって、特に授業に出ない過激派の連中が怪しまれていた。
彼らの中では抗争が起きていたらしく、事態は悪化の一途をたどった。
ああっ、何という高揚感！今まで散々愚弄されてきた憂さを晴らすことができる。
しかし、三度目は現行犯で捕まってしまった。
先生方に呼び出されてあれこれ理由を聞かれたが何の事はない。
正直に理由を話してやったら職員会議に取り上げられた。
事実が明るみになると学校中の真面目な穏健派連中が話し掛けてくるようになった。
穏健派にとっても過激派は悩みの種だったらしく、正義の報復を見事に成功させた自分をこっそり賞賛してくれた。
今では仕掛けも劇薬タイプに変えて、敵の所持品に塗りたくってじわじわと敵を苦しめている。
ほとんどが穏健派の依頼でやっているから多くの人間が共犯になるだろう。
読者諸君！
自分を虐めた代償がどんなに大きいものだったかを社会に知らしめようではないか！