お茶の水の大手書店のコンピュータ書籍のコーナーで本を探していたら
昔BSD界隈では名前の知れたTさんとバッタリ会った。
「お久しぶりです」
「ああ」ちょっと照れくさそうにTさんは笑う。
Tさんもここ数年めっきり人前に出ることが無くなった人だ。
「最近は研究会とか来られないんですか?」
「うん、、僕がBSDやってた事、みんな知ってるからね、ちょっとね、、」
そうだった。
ちょうど眼をやった書架にS誌のバックナンバーがあった。BSD特集だ。
「BSDの記事を載せるのって今じゃこの雑誌位ですよねー」
「恩靴の彼が今でも新機能を大げさに書き立ててるんだろ」
Tさんは少し声を震わせる。

「BSDの新機能って結局あれなんだよ、実際には、、」
「まあそうですね」

「彼は確信犯なんだろうけど、若い人には僕みたいになって欲しく無い」
「・・・・」

そう言って、Tさんは去って行った。
Tさんの無念を思う時、新しい犠牲者を無くしていきたいと強く思う。