ある時、友人の母親が言ったそうである。
「インターネットというのはずいぶんと、いいものらしいね。」
「ところでおまえ、今度世間で評判のインターネットとやらを、
ひとつわたしにも買って来てくれないか。」
くだんの友人は言うべきことばを失ったそうである。

わたしもその話を聞いてかつてのウィンドウズ95にまつわる笑い話を思い出した。
ウィンドウズ95が発売まえから大人気になり、当日パソコンを持っていない人までが、
並んで買ってしまつた、という有名な笑い話を。
ブームというものは恐い。
とくに日本人のように世間の流れに遅れまいと常に触覚をとがらせている人々が、
多数を占めているとなぜ、みんながインターネットに魅かれているのか、
考える間もなしに同じ方向に走り出す。
この流れが一過性のブームで終わらないことをただ、祈るばかりである。