エアは笑うの止めて、またあんぐり口をあけたと思うと、なにやら満足そうに一度頷き、
-…正直な話、悪気があるわけじゃないんだ、なんというか、君の事が羨ましいだけだ。

-B子が言っていた、君は気が利かないからB子が与えた分だけしか愛情をくれないって
-でも、与えた分は必ず返してくれる人だってね、…B子の事を頼む、幸せにしてやってくれ。

もちろんです、根気よく仕事をするタイプの男ではないですが、、、、(おいエア、そこで頷くな!)
B子さんの事だけは、一生努力できる気がしているんです、任せて下さい。、、、、頭を下げあう。

あまり良いタイミングで持ってきてもらえずにややぬるくなった、燗酒を注ぎあう。
練習不足なのに寝技に引き込まれボコボコニされた、実力差は歴然であった。
エアから見たら、ひよっこなんだろう、でも、何故か後継者に指名された。責任重大だ。

それにしてもエアの仕事ぶりは凄い、今年、去年、俺の事を調べていたなんて、
まさにレジェンドな仕事の段取りじゃあないか、まったくもって敵に廻したくない人間の一人だ。
でも、そんな人間に認められた事がちょっと嬉しい。これで終わりだよね?

-それはそうと、B子は捻くれてて結構扱い難いところがあるだろう、、、、、、…そんな事はないです。
-君は本当に考えが顔に出るなぁ、注意した方が良いと思うぞw、、、、、はぁ、
-いや、この間会わせられなかったんだが、聞いていると思うが、B子には妹がいてね、、、、

うん、そうだよねこの話があった、今年、去年、って、続けて一昨年って調べてるのかな?
A子と別れたばかりってひょっとしたら、それもばれている?エアの完璧な仕事ぶりからしたら、、、、
エアは何度俺を試す気だ、知床以来勉強していたギリシャ神話の「シジフォスの神話」を思い出した。
アルベール・カミュ真っ青の不条理が俺を襲うのか?不気味に微笑むエアの本心は?