名古屋から電車にゆられて1時間。
途中の乗換駅でのこと、人混みある本線プラットホームの賑わいとは裏腹に、一番南の端っこで淋しげに待つワンマン運転の列車に不安になる。
時代を遡っているような錯覚になる車窓、ひとり、またひとりと乗客が降りていく。
ただ私ひとりと空気を運ぶだけになった電車が辿り着く場所 「碧南(へきなん)」。
閑散とした駅に降り立てば、鉄臭い鋳物の匂いと微かな潮の香り。
”碧い南”と称しながらも、凡庸な地方工業都市であるが故に誰の関心をも集めない街。
だからこそ訪れる価値がある。
ひとりトボトボと碧南を歩けば、誰も知らない街が私だけの知る街へとなっていく。
ひとりトボトボと碧南を歩けば、「日々是れ好日」と、あるがままを受け止め楽しむ自分がいる。
店番のおばちゃんにつられて、私の言葉もつい三河弁に。
小さな感動が心を寛容にしてくれる街、それが「碧南(へきなん)」かも知れない。

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