そんなホンダでパワーポイントを延々と作り続けるうち、このままで本当に良いのだろうか?
技術者として全く成長できていない。
パワポの紙芝居とサプライヤーの日程管理・問い合わせを定年まで延々と続けなければいけない絶望感に襲われました。
こんな環境であるので技術開発をおこないたい新卒・中途のエンジニアは入社数年で大量にホンダから去って行きました。
ホンダ入社3年目のある日、ホンダと決別する決心をしました。

もう今のホンダは私の憧れていたホンダではない。
自らの手で技術開発をおこなわず、技術を買ってくるだけの技術商社と化したホンダは私の愛したホンダではない。
本当にふとした瞬間に決意をしました。
自分にとって年収や高待遇は大事ではない。
かつてプロジェクトXで見たホンダの熱い思いの技術開発、多くの本で見たホンダの魂の技術開発、
それが出来ることが自分にとって一番大事じゃないか。
企業規模は小さくとも、年収が数割下がったとしても魂の技術開発ができる場所で生きる。
そう腹を括りました。

腹を括って覚悟を決めた後はすぐに退職届けを提出しました。
有り難い事に本当に多くの人から引き止めてもらいました。
また、お前の気持ちは良く分かると言ってもらい、若手エンジニア達や年齢の近い先輩達から共感の声をたくさん頂きました。
ある方からは家庭等の問題が無ければすぐにでもお前と同じ行動を起こすと言ってもらえました。
皆、年齢の近いエンジニア達は同じ思いで非常に苦しい思いで耐えていたんだなと、退職を表明してから改めて理解することができました。
そうですよね。皆、遠からず近からず同じ理由でホンダという会社に入って来たんですから。
ホンダで魂の技術開発がしたい。
世界を変える機能を生み出したい。
ホンダしにしかできない独創的な商品を創りたい。
技術の力で世の中を変えたい。
部署は異なる様々な同期からも共感する声を頂きました。
また、俺もすぐに続くと実際すぐに退職した同期も数名いました。

現在、私は車業界から離れホンダと比べると吹けば飛ぶような小さい会社に勤めております。
もちろん、ホンダほどの給料は貰えませんが毎日充実したエンジニア生活を送れています。
エンジニアリングの対象はホンダの車のように多くの人が知っている有名なものではありません。
それでも実際に手を動かし、物を造る。
ホンダで忘れかけていましたが、それがこんなにも楽しいものだと再び思い出しました。
やはりエンジニアは自分で物を作り、上手くいかず、どうやれば上手くいくのだろうと悩み、
課題を一つずつ解決していくことがが一番大事と考えています。

日本有数のホワイト企業、ホンダを退職しましたが、全く後悔はしておりません。
日々の技術開発に全身で取り組む、それこそが私のなりなかった真の姿なのですから。