真夏から残暑厳しい頃までモニターの前で鼻に脂汗を滲ませて、
サルサルと目を血走せながら、内容証明を書いている姿が私の脳裏に浮かんだ。

既に裁判以降、連絡も途切れているのに奴は妄想の中で苦しんでいる、と
思った。

彼の頭の中では怨みつらみが渦巻いていて、凄まじい情念が沸々と沸いており、
こちらはたいした労力をかけずに奴自身が自ら作った蟻地獄に引きずり
落ちると想像できた。

自分の妄想に苦しむのはこちらに責はない。ただ妄想の蟻地獄に落ちるには
奴の背中をちょんと押してやる必要があっただけだ。