怖い夜にひとつ怖い話

「俺は神になったんだぜ」
そう友人が居酒屋で僕に語り出した

その友人は登山愛好家であった
しかし彼は登山中の事故で右手の人差し指と中指を失っていた
それでも登山を辞めることはなかった、山を愛していたから

そんな彼はまたある時、登山中の災難に襲われた
足を踏み外して崖から落ちてしまったのだ
しかし間一髪、必死に手を伸ばした結果、岩を掴み、
九死に一生を得た

僕は尋ねた
「おい、その話がなんで君が神になったと言うんだい」
彼は言った
「だって、右手の人差し指と中指で岩を掴んだんだぜ」

おわり