た。

「気象庁が特別警報などの気象情報の発表に ツイッターを使えないことには、気象業務
法にはっきりとした根拠があります。まず、こちらの条文を見てください」

 P氏が教えてくれたのは、気象業務法の第11条と第13条第3項。それぞれ、「気象
(中略)の観測の成果並びに気象(中略)に関する情報」と「予報事項及び警報事項」
を「放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関の協力」を求めて公衆に周知させる
よう努力することを気象庁に求める条文だ。

「この条文に出てくる『報道機関』については、10年前に気象庁みずからその意味を
明言しています」

 そういってP氏がデスク上のパソコンから業界団体「気象振興協議会」の会員専用
ホームページを開いて見せてくれたのが、2008年1月の会合の会議録だ。そこには、
気象庁の「企画調整官」の発言として「携帯電話は通信事業なので対象ではない」
という一文があった。しかし、これがツイッターとどんな関係が?

「ツイッター社自体は電気通信事業者ではありませんが、電気通信事業者の通信
サービスがなければ情報をいっさい流通させることができない、完全な下流側の事業者
です。上流側の電気通信事業者が気象業務法の『報道機関』に該当しないのなら、
その下流側でしかないツイッター社が気象業務法にいう『報道機関』に該当する余地は
ありません」

 なるほど。気象庁が「報道機関」ではないツイッター社に、ツイートというかたちで
気象情報を預けることによって発表に協力させると、法律に根拠のないことをする
体裁になるので不適切、時間を遅らせて報道発表の紹介というかたちでツイートする
しかないという理屈だ。