イーガンの「ゼンデギ」ってのを読んだ
ネタバレにならない程度に粗筋を書いておくと嫁に先立たれると同時に
深刻な病を宣告された主人公が幼い息子のために自分の分身(プロキシ)を
仮想世界に残そうとするが。。というストーリー
イーガンは無味乾燥だとか悪たれる人も多いが家族愛をテーマにしたウェットな作品や
政治への関心を示す作品も多くそうした系統に属する作品だな
読みながらいくつかのエンディング、バッドだったりグッドだったりが予測でき
期待と不安を抱きつつ一気に読み通せるドラマ性の高い作品でもある
VR技術・世界の克明な(執拗な)描写が特徴だが奇しくも、かどうか知らんが
本作のイントロの舞台となる2012年頃にはOculus Riftの初期版が話題になっていて
ゲームでVRが注目され出した年にあたっていたりもする
本作が書き上げられたのが2009年半ばだそうでイーガンが近未来をどう見通していたかが
分かるのも面白いところか
冒頭では今でもオープンソースとしては最強のオーディオ編集ソフトウェアaudacityの
名前も飛び出す
VRゲームサービスを行ってる企業がある国として挙げられているのは本作の舞台である
イランの他にインドと韓国。2009年当時ゲーム分野における両国の台頭が感じられた
からだろうが、今のところどちらもローカルゲーム色が強くグローバルな展開には至ってない
その意味ではイーガンの予測は外れてるが日本を挙げてない点だけは割と鋭いかな
という気もする