宮崎監督によるロード・オブ・ザ・リング評論

「(文章後半)・・・アメリカ人は、ダーッと撃ったらドイツが爆発したとか、
相変わらずそんな映画ばかり作ってるでしょ。いちばんシンプルにとり残されているのは
アメリカ映画です。敵だったらいくらでも殺していいわけで

『ロード・オブ・ザ・リング』だってそうです。敵だったら,民間人でも兵隊でも区別なしに
殺していい。誤爆の範囲なんですよ。一体アフガニスタンの攻撃で何人ころしてるんですか?
それを平気でやっている映画が『ロード・オブ・ザ・リング』です。原作を読めば分かりますけれども、
実は殺されているのは、アジア人だったりアフリカ人だったりする。それがわかんないで
ファンタジーが大好きって言っているのは、馬鹿なんです。

『インディ・ジョーンズ』なんかでも、白人がパーンと人をうつでしょ?

一緒に喜んでいる日本人っていうのは、信じられないぐらい恥ずかしいことなんですよ。
そういう自覚なしに観るということが信じられない。誇りも歴史観もない。自分が
アメリカという国からどういう風に思われているかも知らない。USアーミーなんて
胸につけたシャツを着てね、スタジオの若いやつがパリに行くってんで、
『お前は馬鹿か』って言うと『ファッションです』って言うんだよね。行ったとたんに、
パスポートなんか盗まれて。ざまみろって、そんな話はどうでもいいんですけどね(笑)。