『透明人間』  H・G・ウェルズ  (1897)

♪透明人間 現る現る〜♪ なんて歌ってしまうと年がばれるので止めておく。
古典中の古典、ウェルズである。SF好きな本読みで、この人の作品を一つも
読んだことがないってヤツぁまず居ないのではないか。

空想科学という言葉自体がない時代に、こういうお話を書いてしまうウェルズって
すごくぶっ飛んだ人だったんだろうなぁと信じている。
透明人間のような人体改造ネタだけでなく、これまでに使われたSFのアイディア
はウェルズによってほぼ考案されていたという話を聞いたことがある。
さすがにちょっと言い過ぎのような気がしないでもないが、そう誉められるだけの
ネタの数々を、確かにこの人は出していると思う。

主役?科学者が透明になってからの思考の流れは、実に気持ち悪く嫌らしい。
見えないというアドバンテージを利用しまくり、徐々にしかし確実に悪の道に踏み
込んでいく。そりゃもぉ見境なく躊躇いもなく。
個人が強大な力を手に入れたら、素奴は何を考え、そしてどうなってしまうのか。
そういう疑問を投げかけているかのようで、なかなか考えさせられる。
やはり人間って、性善説より性悪説で語るべき存在なのかなぁ・・・重いなぁ。

♪嘘を言っては困ります 現れないのが透明人間でっす!♪
う〜ん、エッシャーの騙し絵のような印象の歌詞だ。今聞くとなかなか面白い。