『バーサーカー皆殺し軍団』  フレッド・セイバーヘーゲン  (1969)

いずことも知れぬ宇宙の深淵よりやって来る、恐るべき戦闘機械『狂戦士』。
いつ、どこで、誰が創造したのかまったく不明。
その存在目的はただ一つ・・・生あるものすべての殺戮と消去!

謂わば自意識を持ったデススターみたいなモンがターミネーターみたいなモンを満載
して、この人類銀河にわしわしと攻め込んでくるのだ。
正に人が創作したSF史上“最悪にして究極の”敵役である。
この設定思いついた時点で、セイバーヘーゲンは勝ったも同然!
彼にはこのシリーズしか著名な作品はないかもしれないが、このシリーズとその設定
だけで、歴史に名を残すことは間違いない。

本作にはこのバックボーンに、タイムスリップの要素まで加えられている。
神話時代の荒野で激突する、人型決戦兵器と蜘蛛型バーサーカー。
英雄時代の大海原に暗躍する、骸骨型バーサーカーと大海竜要塞。
そして中世の老科学者を禁断の知識で誘惑する僧侶型バーサーカー。
いや燃える! 特にメカフェチな人は、第一部のスレイブユニットによる戦闘は必読。
マスターユニットが宙吊りになっていたりして、実に画期的で格好イイ。

またセイバーヘーゲンの小説はこの設定からすると意外かもしれないが、実にロマン
チシズムとヒロイズム、そしてリリシズムに溢れているのだ。
タイトルで食わず嫌いしている人、ここは騙されたと思って読んでみてもらいたい。
本当に面白いゾ!

しかしナンだこの邦題は・・・ある意味、随分と損をしているのでは?
【余談】セイバーヘーゲンって名前、格好イイよなぁ!羨ましい。