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これだけは抑えておきたい!古典SFスレッド

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0001名無しは無慈悲な夜の女王NGNG
てのを羅列するスレッドです。
0304名無しは無慈悲な夜の女王2005/04/30(土) 10:58:42
>>301
つーかアンチテーゼかもしれないねそれぞれ
0305天文学者2005/04/30(土) 21:03:39
『火星年代記』  レイ・ブラッドベリ  (1950)

ブラッドベリは天性の詩人である。
『ロケットの夏』の情熱と感じられる期待感。
『第二のアッシャー邸』の残酷さと怒りと無邪気。
『火星の人』の哀しみと慈しみ。
『長の年月』の優しさと狂気。
『優しく雨ぞ降りしきる』の寂寥感、報われることのない奉仕。
『百万年ピクニック』の過去への、そして未来への思い。
希望と諦観、喜びと哀しみ、苦痛と癒し。そのすべてが『火星年代記』にはある。

学生時代に読んだ時、言葉では言い表せない感動を覚えた。
少し疲れた社会人になった今読み返してみると、今度は別の感動を覚えた。
読むたび涙が出そうになる。そして気がつくと私は癒されている。

何度でも言う。ブラッドベリは天性の詩人である。
そしてこれはブラッドベリの、そしてSF史上に燦然と輝く傑作である。
読んでいない人は、人生で損をしているとまで思う。

・・・すいません。私の中で特別過ぎて、まともに紹介文が書けません。
他人からすれば何してんの?等々思われるかもしれませんが、こういう作品に
出会えた自分は、素直に幸せだと思うのです。
0306名無しは無慈悲な夜の女王2005/04/30(土) 21:07:17
きもー
0307名無しは無慈悲な夜の女王2005/04/30(土) 21:07:48
ブラッドベリは「アメリカ中西部の」詩人でもあるね。
実際、邦訳されてる中であれほど中西部の雰囲気を感じさせる作家はいるだろうか。
0308名無しは無慈悲な夜の女王2005/04/30(土) 21:15:17
>火星年代記

『昆虫銃』 がほしい!
0309名無しは無慈悲な夜の女王2005/05/01(日) 23:52:31
何を読んだらいいのかわからないという人は、まずは
読書力 / 斎藤孝/著
http://books.yahoo.co.jp/bin/detail?id=31026991
理想の国語教科書 / 斎藤孝/著
http://books.yahoo.co.jp/bin/detail?id=30971578
を読んで読書の意義とスタイルを学んだあとで
必読書150を読めば、まず間違い無い。
必読書150のリストは↓のアドレス参照。
『必読書150』は必読書か?
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/book/1090570166/l50
0310名無しは無慈悲な夜の女王2005/05/05(木) 06:47:49
カレスの魔女、宮崎絵だから買わなかった俺ガイル
0311天文学者2005/05/07(土) 23:34:50
『バーサーカー皆殺し軍団』  フレッド・セイバーヘーゲン  (1969)

いずことも知れぬ宇宙の深淵よりやって来る、恐るべき戦闘機械『狂戦士』。
いつ、どこで、誰が創造したのかまったく不明。
その存在目的はただ一つ・・・生あるものすべての殺戮と消去!

謂わば自意識を持ったデススターみたいなモンがターミネーターみたいなモンを満載
して、この人類銀河にわしわしと攻め込んでくるのだ。
正に人が創作したSF史上“最悪にして究極の”敵役である。
この設定思いついた時点で、セイバーヘーゲンは勝ったも同然!
彼にはこのシリーズしか著名な作品はないかもしれないが、このシリーズとその設定
だけで、歴史に名を残すことは間違いない。

本作にはこのバックボーンに、タイムスリップの要素まで加えられている。
神話時代の荒野で激突する、人型決戦兵器と蜘蛛型バーサーカー。
英雄時代の大海原に暗躍する、骸骨型バーサーカーと大海竜要塞。
そして中世の老科学者を禁断の知識で誘惑する僧侶型バーサーカー。
いや燃える! 特にメカフェチな人は、第一部のスレイブユニットによる戦闘は必読。
マスターユニットが宙吊りになっていたりして、実に画期的で格好イイ。

またセイバーヘーゲンの小説はこの設定からすると意外かもしれないが、実にロマン
チシズムとヒロイズム、そしてリリシズムに溢れているのだ。
タイトルで食わず嫌いしている人、ここは騙されたと思って読んでみてもらいたい。
本当に面白いゾ!

しかしナンだこの邦題は・・・ある意味、随分と損をしているのでは?
【余談】セイバーヘーゲンって名前、格好イイよなぁ!羨ましい。
0312名無しは無慈悲な夜の女王2005/05/08(日) 10:32:46
>>295
いや〜、それは、よかった、よかった。
もしよろしければ >>207 の「人間以上」も読んでやってくださいな。
あなたのような方がいて天文学者氏ももって瞑すべしでしょう。享年45。
0313名無しは無慈悲な夜の女王2005/05/09(月) 17:31:53
>>311
>>セイバーヘーゲンって名前、格好イイよなぁ!

紹介部分はともかく、なんじゃコレは。
まぁ確かに素手で宇宙艦隊沈めそうな名前ではあるが(w
笹本さんってこっから名前取ったのかいな?
0314名無しは無慈悲な夜の女王2005/05/09(月) 23:07:42
>>313
フォロー乙
0315天文学者2005/05/10(火) 00:37:36
『アンドロイド』  エドマンド・クーパー  (1958)

冷凍睡眠から目覚めた男が見た未来社会は、アンドロイドがすべての仕事をこなして
人間は怠惰と享楽を貪っていた――ユートピアに見えて実はデストピア、という王道
パターンの元祖になった古典SF。

未来世界の風俗描写も興味深いが、しかし、何と言ってもこの作品の売りは“人間と
ロボットの恋愛”を真正面から書いた点だろう。ロボットに感情を教えようと悪戦苦
闘する主人公、そして素直にそれを学習していく純粋な女アンドロイド。パターンと
言えばそうだけど、パターン故に魅力的でもある。
仕事もせず、果たすべき義務も存在せず、その上こんな可愛らしい相方を与えられて、
何で主人公はアンドロイドに反旗を翻すかなぁ・・・などと考える人も多いかと(笑)。
書かれた時代が時代だけに古臭いのは否めないが、懐かしいというか、なんとも表現
し難い魅力があるのも事実。

でも実際のところ本作品よりも、クーパーがリチャード・エイヴァリー名義で書いた
『コンラッド消耗部隊』の方が好きだったりする私。
どうやら私はロマンスよりも娯楽性に引かれるようである(苦笑)。
0316名無しは無慈悲な夜の女王2005/05/10(火) 23:41:40
http://www108.sakura.ne.jp/~fun_bolt/bbsnote.cgi?fc=repost&l=2827
これも押さえておくか
0317名無しは無慈悲な夜の女王2005/05/11(水) 17:51:20
>>315
>でも実際のところ本作品よりも、クーパーがリチャード・エイヴァリー名義で書いた
『コンラッド消耗部隊』の方が好きだったりする私。

では、こっちの話を紹介してください。
0318天文学者2005/05/14(土) 20:16:55
>>317
ん〜、『コンラッド消耗部隊』はですねぇ、個人的には好きなんだけど他のSFファンに
手放しで進められるかと言えば、そうも思えない作品なんです。
色んなところで逝っちゃってる設定でして、評価するのが難しい。

人口爆発した人類の植民地を探すために、危険度の高い惑星探査に赴くのがこの部隊
の仕事なんですが、死んでも惜しくない人材中心で構成されているんですな。
死刑囚だったり更正不能な犯罪者だったり社会生活不適合者だったり(汗)。
お前らが居なくなっても誰も心痛まないから、安心して死んで来い!みたいなノリ。

主人公コンラッドを含めたレギュラー三人が、これまたどこか壊れた人たちばかり。
彼らの目的は、調査対象の惑星をいかにして地球型環境にするかであって、惑星土着の
生物がどうなろうか知ったこっちゃねぇ!というのが基本姿勢ですし・・・。

一冊ごとに趣向を変えていたりして、私は結構好きなんですけどね。
(そんな私でも3巻はアゴが落ちかけたりしてw)
波長が合えば楽しめる作品ではないかということで、お茶濁しときますデス。
0319天文学者2005/05/14(土) 20:18:35
『分解された男』  アルフレッド・ベスター  (1952)

時はテレパシスト(読心術者)が普通に存在する未来社会。彼らの台頭により犯罪を
起こすことがまず不可能になってしまった時代。
だのにだのに、まんまと計画殺人を成功させてしまった我らが主人公(えっ!?)。
テレパスを率いる捜査官との、虚々実々の駆け引きが始まる。

ぶっちゃけ簡単に言うと、刑事コロンボSFミステリーバージョン。
犯人VS警察、序盤から飛ばしまくりのハイテンションで物語は突き進む。
凄いのはまったく中弛みすることなく、クライマックスまで突入するその持続力。
全編コレ怒涛波乱万丈な展開、間違いなく娯楽大作にして大傑作。
テレパスを表現するのにタイポグラフィを効果的に使っていたりするのも面白い。

作者のベスターはこの作品を書いた時点で、既にテレビドラマのシナリオライターと
しても成功していたらしい。よくぞSFに引き抜いてくれました!
彼にSFを書かせた、時のギャラクシー編集長に感謝。

第一回ヒューゴー賞長編部門を受賞しているのだが、その時の競合作が凄い面子。
クラーク『幼年期の終わり』、ブラッドベリ『華氏四五一度』、シマック『都市』、
そして他にもスタージョンやアシモフ等々、正にどひゃー!なラインナップ。
それらを抑えての受賞、やはり只者ではなかったんだなぁ。
03203172005/05/14(土) 20:54:20
>>318
ご紹介、どもありがとう。機会があったら読んでみます(笑)。
0321名無しは無慈悲な夜の女王2005/05/14(土) 20:57:44
>>318
はいはい、好きでした「コンラッド消耗部隊」。
毎回、レギュラー3人以外のメンバーが6割がた
死んでしまうという、まさに「消耗部隊」でしたな。

3巻はドレだったっけ…移住予定の惑星に人型
生命体がいて、って話でしたっけ?

私はどっちかっつーと4巻(のオチ)でアゴが落ちかけた…
主人公のコンラッドが年とったせいもあるのかも知れない
けど、(メール欄)な結論が出ちゃったのがすごいなあ。
0322名無しは無慈悲な夜の女王2005/05/15(日) 23:16:06
漏れ的には、コンラッドって聞くとゼラズニイの「我が名はコンラッド」を思い出す。
何が言いたかったのかよ〜分からん小説だったけど、なぜか好きなんだよな。
0323天文学者2005/05/16(月) 02:38:44
『竜の卵』  ロバート・L・フォワード  (1980)

太陽系に進入してきた中性子星。直径二十キロ足らず、しかし重力は地球の一万倍。
人類は調査隊を送り、あの手この手を駆使してこの中性子星に接近する。
このあたり、なかなかハードSFしていてSF者としては嬉しい。
ところが調査隊、なんとこの星上に知的生物を発見しちゃうんである!
そう、実はこの作品、トンデモない環境下でのファーストコンタクトSFだったのだ。

このチーラという名の知的生物、大きさも形状もまさにナメクジ。
時間の流れが激しく違い、チーラの過ごす時間の速さは、人類のそれのざっと百万倍。
人間がコーヒーで一息入れる間に、チーラの世界では十世代くらい軽く過ぎちゃうのだ。
そのためコンタクトするというより、チーラの進化や歴史を超越者の視点で眺めるよう
な趣が強い。リアルでシムアースを遊んでいるような感じ。

しかし、ブリンの『知性化宇宙』シリーズでも思うことだが、チーラの情感があまり
にも人間臭すぎて少し興醒めではある。充分面白いんだけどね。

後半人類から技術指導を得、チーラが怒涛の勢いで進化し始める辺りから、途端にバカ
SFへと豹変する。(いや、前半も充分バカかもしれないが -_-;)
あっという間にチーラの科学水準は人類のレベルを追い越してしまい、人類は置いてけ
ぼりを食らうのよ。最後の方ぶっちぎり過ぎて、最早ハードの欠片もないかも(笑)。

非常によく出来たSF法螺話。読んで楽しめるのは間違いないと思う。
0324天文学者2005/05/16(月) 02:48:41
>>321
おぉ、消耗部隊好きな人がここにもw
そうです、3巻は惑星に下りた途端バイキングみたいな原住民とガチンコ始める
ヤツです。も、全然SFらしくないし(笑)。
決着のつけ方なんかパターンで好きなのですがね。

そういえば4巻もかなりトンデモなかったですねぇ。
こんなだから他人に手放しで勧められんのだよなぁ。

>>322
『我が名はコンラッド』、私も好きです。
って言うか、ゼラズニイの作品は皆好きなんですが。
翻訳者が楽しんで仕事されたような訳文も良かったなぁ。
0325名無しは無慈悲な夜の女王2005/05/16(月) 14:07:22
>>323
なんかすっげーオモシロそう。
0326名無しは無慈悲な夜の女王2005/05/16(月) 15:05:56
>>323
>>チーラが怒涛の勢いで進化し始める辺りから

進化のスピードが違うもんだから、最後の方じゃ人類が未だ実現できていない
超光速航行まで達しちゃうんだよね。エーッ!オイオイって感じw
そうなったらもう人間なんざの相手はしてられないからかどうか、人間の時間に
合わせたチーラ型ロボットを作って、それと会話するようになる始末。
なんとなく藤子不二夫の「うちの三畳紀」を連想しますた。

裏表紙の解説じゃあハードSFなんて書かれているけど、内容はチーラ人の
歴史絵巻になってるっぽい。
果たして作者のフォワードは最初からそんな構想持っていたのかな。
案外、暴走の結果だったりしてなw
0327名無しは無慈悲な夜の女王2005/05/16(月) 15:43:24
>>315 >>318 >>321 >>324

創元SF文庫は絶版だけど、一応、書名も書いておけよ。

『クレイトスの巨大生物』 The Deathworms of Kratos (1974)
『タンタロスの輪』 The Rings of Tantalus (1975)
『ゼロスの戦争ゲーム』 The War Games of Zelos (1975)
『アルゴスの有毒世界』 The Venom of Argus (1976)
0328名無しは無慈悲な夜の女王2005/05/16(月) 19:00:18
>>327
書誌情報枚挙乙
0329rose2005/05/17(火) 00:03:41
昔々、松本零二がイラストを入れていたスミスの「シャンブロウ」見たことある人いるかな?
0330名無しは無慈悲な夜の女王2005/05/17(火) 07:35:36
松本氏表紙のシャンブローは全巻持ってますが何か
0331名無しは無慈悲な夜の女王2005/05/17(火) 11:24:28
同じく
03322952005/05/17(火) 20:28:42
>>312
お、驚いた。レスがついてた。わざわざありがとう。
「人間以上」は一年ぐらい前に読みました。
最初の男とか、存在が筋自体にあんま関係ない気もしたけど、
そこは力強くて寓話的な文章に押されて、一気に基本アイデアにたどり着いて、
そして最後のあの展開で意表つかれて、また驚きですよ。
あれも面白かった。

このスレも参考にして名作SFを読み漁ってます。
0333名無しは無慈悲な夜の女王2005/05/26(木) 22:41:57
>>311
バーサーカー・シリーズの「赤方偏移の仮面」を読みました。
とってもおもしろかったです。
投げやりなご都合主義でもなく、力み返った一人相撲でもなく、
ちょうどいい湯加減の露天風呂という感じで、なんともええ按配でした。

ほかの作品も読んでみたくなりましたので、今度は「皆殺し軍団」を
探してみます。
0334名無しは無慈悲な夜の女王2005/05/28(土) 10:40:16
『闇よ落ちるなかれ』 Lest Darkness Fall (1939)
Lyon Sprague de Camp作

ローマを訪れていたアメリカの考古学者マーティン・パッドウェイは、
突然の稲妻に打たれた瞬間、20世紀から西暦535年の古代ロ
ーマにタイムスリップしてしまった。だがこの時代には、各宗派間の
陰惨な対立抗争、そして織烈化の一途をたどる領土紛争と、
西洋古典文明がまさに黄昏を迎えつつあったのだ。この後に待ち
受けているはずの、1000年にも及ぶ暗黒時代の訪れを食い止
めようと、パッドウェイは持てる知識を総動員して奮闘するが…
…。


タイムスリップ物の古典。マーク・トウェインのアーサー王宮廷の
ヤンキーの流れにつながる作品。
0335名無しは無慈悲な夜の女王2005/05/28(土) 23:39:20
そこでファウンデーションですよ。
0336名無しは無慈悲な夜の女王2005/05/29(日) 08:06:12
オラフ・ステープルドン
『最期にして最初の人類』
『スターメーイカー』
0337名無しは無慈悲な夜の女王2005/05/29(日) 10:19:29
×最期
○最後

×メーイカー
○メイカー
0338名無しは無慈悲な夜の女王2005/06/02(木) 01:07:26
>>337
ごめんこ
0339名無しは無慈悲な夜の女王2005/07/20(水) 19:36:06
隠れた古典名作ってなかなかないな
0340名無しは無慈悲な夜の女王2005/07/20(水) 21:25:13
トリフィドの時代
0341名無しは無慈悲な夜の女王2005/07/21(木) 13:20:05
旧約(ry
0342世界の中心で愛を叫んだけもの2005/07/21(木) 22:08:59
104 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:05/01/15 21:19:16
語感がいいというか
ジャム・カレット、クロスホエンにいく流れは凄い好き
うひょやべかっけやっべかっけーってなる
そんだけ

なんて頭の悪そうなレスだ
105 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:05/01/15 21:26:23
「やべかっけ」について詳しく
106 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:05/01/15 21:29:46
うひょやべかっけやっべかっけーっ

て思いながら書いてただろうな、エリスン。
オナニー作家だぁね。片山もな。
107 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:05/01/15 22:05:34
やべかっけで書いても95%が駄作に。
ただ、やべかっけなしで書いたら100%駄作だ。

たしか「ルグィンの法則」
109 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:05/01/15 23:42:58
うひょお
やばいよこれ
かっっこいいよ
これやばいよまじ
かっこよすぎるよ

こんな感じだろう
110 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:05/01/16 03:30:01
これってエリスンがクスリきめながら書いたんだよ。
ヤク中作家なんだよ。
0343名無しは無慈悲な夜の女王2005/08/19(金) 00:03:42
天文学者さん、早くもどってきてね。
0344天文学者2005/08/21(日) 15:54:48
『透明人間』  H・G・ウェルズ  (1897)

♪透明人間 現る現る〜♪ なんて歌ってしまうと年がばれるので止めておく。
古典中の古典、ウェルズである。SF好きな本読みで、この人の作品を一つも
読んだことがないってヤツぁまず居ないのではないか。

空想科学という言葉自体がない時代に、こういうお話を書いてしまうウェルズって
すごくぶっ飛んだ人だったんだろうなぁと信じている。
透明人間のような人体改造ネタだけでなく、これまでに使われたSFのアイディア
はウェルズによってほぼ考案されていたという話を聞いたことがある。
さすがにちょっと言い過ぎのような気がしないでもないが、そう誉められるだけの
ネタの数々を、確かにこの人は出していると思う。

主役?科学者が透明になってからの思考の流れは、実に気持ち悪く嫌らしい。
見えないというアドバンテージを利用しまくり、徐々にしかし確実に悪の道に踏み
込んでいく。そりゃもぉ見境なく躊躇いもなく。
個人が強大な力を手に入れたら、素奴は何を考え、そしてどうなってしまうのか。
そういう疑問を投げかけているかのようで、なかなか考えさせられる。
やはり人間って、性善説より性悪説で語るべき存在なのかなぁ・・・重いなぁ。

♪嘘を言っては困ります 現れないのが透明人間でっす!♪
う〜ん、エッシャーの騙し絵のような印象の歌詞だ。今聞くとなかなか面白い。
0345名無しは無慈悲な夜の女王2005/08/21(日) 16:26:01
クラークの代表作「幼年期の終わり」と
アシモフの「ファウンデーション」は確定だろ。
0346名無しは無慈悲な夜の女王2005/08/22(月) 21:59:03
>>344
おかえりなさーい!\(^〇^)/
0347天文学者2005/08/23(火) 03:08:59
『トリフィド時代』  ジョン・ウィンダム  (1951)

謎の流星群の影響で視力を失った人類に、移動能力を持った食肉植物トリフィドが
襲いかかる――破滅テーマの王道SF。
これまたジュブナイルで読んだ、私にとって忘れられない一冊。
確かタイトルは『怪奇植物トリフィドの侵略』。うむ、実に直球ストレートで潔い。
やはり少年少女向けSFはこうでないとねぇ。

幼少時に読んだ記憶では、改造銃や火炎放射器でトリフィドとガチで渡り合う冒険
野郎な活劇だった筈なのだが、後年創元文庫版を読み返してぶっ飛んでしまった。
読後に受けるイメージがまるで違う!
創元版では、トリフィドは人類の破滅の一因ではあるが、直接の要因ではない。
哀しいかな人類は、内輪揉めによってその勢力をうしないつつあったのだ。
設定といい状況といい、ロメロのゾンビ映画に共通するものがあるかも。

全員で助け合おうとする者。盲いた者は切り捨てて健常者だけで生きようとする者。
盲者を支配し君臨しようとする者。キリスト教の原理で世を立て直そうとする者。
これら派閥が互いに争い、主張し合い潰し合い、そしてトリフィドの大群に呑み込
まれていく・・・言わば、大破壊後の社会構築シミュレーションみたいなノリなのだ。

どうやらジュブナイル版は、そこのドロドロした所がごっそり削られているらしい。
なるほど確かに「盲は家畜以下。生きているだけでもありがたいと思え」なんて台詞、
子供に読ませたくはないよなぁ。
しかし削られても、しっかりと面白いのは凄いことだ。良い構成。
大人になってから新しい衝撃を与えてくれるなんて、罪作りな作品だぜ。まったく。

破滅テーマではあるが、再生のテーマも併せ持っているSFだ。
SFファンなら、一度は読んでおくべき作品だろう。
映画化もされたが・・・B級マニアでない限り見ない方が良いと思う・・・多分。
0348天文学者2005/08/23(火) 03:12:24
>>343
>>346
どーもです。これからも間を空けながら、ボチボチと書き込みますんで、
まぁ良かったら読んじゃってくださいまし。
0349天文学者2005/08/23(火) 23:53:13
『渇きの海』  アーサー・C・クラーク  (1961)

月の表面に降り積もった微細な塵。そこで観光宇宙船が呑み込まれてしまう。
不意の事故、痕跡を残さない塵の厄介さ、おまけに救助活動にあたれるのは月世界
に駐留していた二人の作業員のみ。果たして遭難者の運命は・・・?

典型的な遭難救助モノのストーリーだが、月面の描写がリアルなことに感心。
液体属性に近い塵なんてSFアイディアが投入されているが、読後しばらくの間は
そのことに気がつかず「SFぽくないなぁ」などと愚かな感想を持っていた。
――だって仕方がないじゃない!
私が生まれた頃には、人類はもう既に月に到達していたのだから。

まさかこの作品が書かれたのが1961年、何とアポロ11号が月に立つ8年も前だった
なんて、まるで思いもしなかったのだ。
SF作家の(というよりクラークの)想像力がいかに凄いか・・・改めて思い知る。
少し前に新装版が刊行されたが、良い作品が読み継がれていくのは非常に嬉しく
喜ばしいことだ。

最初から最後までトラブルがノンストップで、この先どうなる?という引きが上手い。
想像力だけでなく、ストーリーテラーとしての才能も実証した作者に脱帽する。
人間を書かないと評されることの多いクラークの作品らしく、遭難した人たちが
ドロドロとした負感情をぶつけ合う描写などはない。
しかし、これはこれでOKだと個人的には思うのである。
あっさりした文章の中にも、人々の苛立ちそして気遣いはしっかりと読み取れるし。

クラークと言えば『幼年期の終わり』や『2001年宇宙の旅』といった雄大な作品が
著名ではあるが、『海底牧場』や当作品のような系統にもさり気なく佳作が多い。
だから私はクラークが大好きなのです。
0350名無しは無慈悲な夜の女王2005/08/24(水) 02:33:16
IEだから読めない
0351名無しは無慈悲な夜の女王2005/08/24(水) 09:56:49
長文レスするならageるな
0352名無しは無慈悲な夜の女王2005/08/24(水) 19:34:32
>>351
なんで?
0353名無しは無慈悲な夜の女王2005/08/24(水) 21:00:48
>>347
この「トリフィド時代」の説明・・・映画化されたモノ・・・はっ!?
ひょっとしてみた覚えがあるかも???
そう、たしか、タイトルは「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」だったかと。

・・・というボケはおいといて。

ずいぶんと昔、友人の家で怪しいB級ホラーを見た覚えがあるのよ。
やっぱり植物のモンスター(名前は忘れた)がゾロゾロと出てきて人を襲うの。
でもね、植物って説明されたけど、全然植物に見えなかったのさ。
だって着ぐるみなんだもの。動きがオッサンそのものだし

でも夜のシーンとか、なかなか恐ろしげで満足した。
あと、夜が明けたら家の外が、この怪物の畑になっていたのがグーな感じだった。
ホラーをわかってるじゃんって生意気にも思った。

でもでも、ラストがあまりにも腰砕けだったの〜。
だってこいつら、海水かけられたら溶けちゃうんだぜ!!
いくらなんでも、それはないだろって終わり方だった。
多分、あの映画で間違いないと思うけど、この原作も、海水で溶けちゃうのかな?
だったら嫌だなぁ(笑)。
0354名無しは無慈悲な夜の女王2005/08/24(水) 21:41:37
>>351
きみ、なんでそんなイチャモンつけたがるの? 動機は何?
0355名無しは無慈悲な夜の女王2005/08/25(木) 11:15:57
動機? あいつは美由紀を殺したんだ! 俺の妹をな!
0356名無しは無慈悲な夜の女王2005/08/25(木) 12:53:52
彼もまた被害者だったんですよ・・・
0357天文学者2005/08/26(金) 02:57:44
『スター・ウィルス』  バリントン・J・ベイリー  (1970)

ワイドスクリーンバロックの名手、ベイリーの処女長編である。
もっとも、私にはワイドスクリーンなんたらという単語の意味がよくわからない。
ただベラボウにスケールの大きいSFの事だろうくらいにしか思っていないし。
しかし、じゃあクラークの『幼年期の終わり』はワイドなんたらなのかと言えば、何と
なく違う気もする・・・誰か私にワなんたらの詳細をレクチャーしてください。

主人公は宇宙海賊なのに、颯爽としていないし、格好良くない。
加えて情けも容赦もないのだ。まぁ海賊なんて実際はそんなモノかもね。
物語の方は、最初から最後まで波瀾万丈、ダレることなく突き進む。
鍵になる“レンズ”を強奪してからの展開は特に密度が高く、あれよあれよという間に
星間戦争(!)まで引き起こっちゃうのである。よくこの長さでまとめたなぁと感心。
しかし、はた迷惑な海賊一味だよなぁホント(笑)。

そして「スター・ウィルス」の正体が明らかになるラストへ。
なるほどこれが物語の根底にあるアイディアだったのね。
ベイリーはとにかくアイディアがメインの人のようで、アイディアを成立させるために
作品世界を構築し、その枝葉末節を吹き飛ばすほどの勢いで語り続けるタイプの作家で
はないかと思う。読者のツボに嵌ればこれほど面白いSFもないが、ツボから外れてい
た場合は、とことんつまらないコトになりかねない。

ベイリー好きな方にはお勧めか。私? もちろん大好きである。
0358天文学者2005/08/26(金) 03:10:13
>>351
どーもすまぬコトでした。

>>353
うむ、多分その映画作品で間違いないデス。
何でも、ラストの海水ぶっかけシーンは、プロデューサーの意向により、急遽付け加えられた
モノらしいデス。やっぱりねぇ。
当初は、映画も原作同様暗〜いイメージで終わる予定だったとか。
安心して原作をお読みくださいましw
0359名無しは無慈悲な夜の女王2005/08/26(金) 18:32:05
>>357
ちょっと調べてみましたが、「ワイドスクリーンバロック」なる名称は、誰からも正確
な定義を与えられないまま、みなさんなんとなく雰囲気で使っているみたいです。
たぶんご存知だと思いますが、定義や説明らしきものが与えられるときには、
例えば次のような感じで、オールディスの解説に言及する場合が多いようです。

「少なくとも太陽系をまるごと舞台にし、宇宙活劇に加えてタイムトラベルがアクセサリー
として使われるのが好もしく、アイデンティティを喪失した人物や惑星をカタにした恐喝や
数々の謎のからんだ複雑なプロットが不可欠。無理と道理の境をドラマチックに手早く
超えるのが肝要。大いなる希望は恐るべき破壊とともになければならない。理想をいえば、
登場人物たちの名前は短く、その命も短いことが望ましい」
(伊藤典夫編『SFベスト201』150ページでの高橋良平による要約)

「無理と道理の境をドラマチックに手早く超える」というあたりに、このジャンルの作品がもつ
ある種のうさんくささがうまく表現されていて微笑ましいです。なにせ代表例として挙げられる
のがヴォークトであったりベイリーであったり田中啓文(!)であったりするわけですから(w

ちなみにWikipediaの「ワイドスクリーンバロック」の項では
「文学的な価値は決して認められないが、際立ったスケールの大きさと既成のジャンルから
はみ出す個性を身上とするバロック的作品群である。」と断定されていました。
「バロック的」というところがほんのちょっと引っかかりますが、だいたいそんな感じですよね。
03603592005/08/26(金) 18:42:00
それで結局、『幼年期の終わり』や『果てしなき流れの果てに』といった
作品がワイドスクリーンバロックに含まれるのかどうかはわかりません
でした。お力になれずどうもすみません。
0361天文学者2005/08/27(土) 10:57:57
『マルコ・ポーロの見えない都市』  イタロ・カルヴィーノ  (1972)

純粋なSFではなく、ファンタジィもしくは法螺話と呼ぶべきか。
何ともつかみ所がなく茫洋として、ある意味トンでもなく厄介な小説。
いや、カルヴィーノ自体が厄介で食えない作家ではあるのだが。

フビライに呼ばれたマルコ・ポーロが、自分が見聞してきた数々の都市を語るという
設定で、一つの都市につき二、三ページ程度で淡々と語られていく。
雲間に姿を隠し梯子だけが確認される都市。山々に渡された綱にぶら下がった都市。
なぜか決して忘れることが出来ない都市。空気の代わりに泥が詰め込まれた都市。
足を踏み入れると出ることが出来ない都市。地上は生者が地下は死者が住まう都市。
こんな調子で五十五の都市の話が語られる。
そしてフビライとポーロの会話はいつ果てるとも知らず続いていく。

他愛無い想像力の小ネタをまとめて長編に仕上げたという、ちょっと不思議な小説。
深読みすべきなのか、深いと見せかけて実は虚ろであるのか。
興味深いしファンが付くのも理解できるが、人に薦められるかと言えば「うーーーむ」
とひどく悩む作品なんである。難しい・・・。
0362天文学者2005/08/27(土) 11:05:06
本日はちょっと毛色の変わった作品です。
このスレの前の方で名前が出ていたので、まぁいいかなぁと。

>>359-360
どうも、解説ありがとうございます。
やはりそうですよねぇ、正確な定義ってまだされていないですよね〜。
個人的な感想ですが、「ワイドスクリーンバロック」って言葉はベイリー
の諸作を解説するために使用されている気がします。
ベイリー=ワイドスクリーンバロックというレッテルを貼っているというか。

まぁレッテルによって中の作品が変わる訳ではないので、読者としては
素直に楽しめば良いのかなぁ、ぐらいに思っております。
0363天文学者2005/08/29(月) 01:21:05
『人間がいっぱい』  ハリイ・ハリスン  (1966)

ハリスンとくれば『ステンレス・スチール・ラット』などのコメディタッチな作品が
まず頭に浮かぶが、珍しやこれは徹頭徹尾シリアスを通したSF。

人口爆発、そしてそれによる環境の悪化――物語の背景は実に暗澹たる設定。
そこで起こったありふれた殺人事件。しかし被害者が大物だったために、担当刑事は
人で溢れかえった街を彷徨する羽目に。とことん救いのない未来警察小説。
まぁ未来への警鐘として書かれた作品なので、読み手の心にダメージが溜まるという
ことは、作者の言わんとしたいことが伝わっているということでもあるのだが。

当時、人口問題にこれだけシビアに取り組んだ作品は他にはないのではないか。
現在の先進諸国では少子化が問題になっているが、人口爆発に悩むアフリカや中国では
まさしくこの小説の舞台が現実の物になろうとしている。
ハリスンの鋭い、先験的な幻視の力がうかがえる。

物語の運びは実に濃厚で、よくぞこのページ数にこれだけの内容を詰め込んだと感心。
ユーモアを廃しても娯楽作品に仕上げるあたり、大した作家だと思う。
『ソイレント・グリーン』という名前で映画化もされた。
原作とは切り口もストーリーもまったく違っていたけれど、救いのない未来社会を描い
ている点では同じ。

「かまうものか。結果が出るのは何年も先の話で、俺の知っちゃこっちゃない!」
この言葉は、今この世界でこそ重く響くように思う。
0364名無しは無慈悲な夜の女王2005/08/29(月) 23:00:57
>>363
ハリィ・ハリスンってたしか、”あの”ペリーローダンをファシスト呼ばわりして
ムチャクチャ嫌ってた恰幅のいいオヂサンだよねぇ。

で、ドイツかどこかのSF大会で「ペ後援団体」の招待に応じて参加しちまって、
それを古参のファンから責められてたよーな。「転向したのかッ!?」ってw
ハリィのオヂサン答えて曰く、「ゴメン、だって無料だったんだもの」

いやこのエピソードだけで、俺はハリィ・ハリスンの大ファンだ!
0365天文学者2005/08/31(水) 19:44:53
『小人たちがこわいので』  ジョン・ブラックバーン  (1972)

SFというより、ミステリーかホラーに分類されるであろう作品。
しかし、作品内で科学的なアプローチに拘る姿勢を頑なに取り、生物兵器(繁殖
世代数の制限付き)や人格ダウンロードなど、当時としては斬新なアイディアが
惜しみなく投入されており、ジャンル分けが難しい一作でもある。
モダンホラーの先駆け的な作品といえるかもしれない。

タイトルは北ウェールズの童謡から取っているらしい。
「だれも猟に行く勇気はない、小入たちがこわいので・・・」
世界各地で事故が頻発する導入部から、この童謡の1フレーズに繋げて行くのは
ある意味力技かもしれないが、それでも破綻していないから大したもの。
SFっぽいアイテムを駆使しながらも、内容はしっかりとミステリーしている。
主人公はわずかな手懸かりから類推することで、じりじりと真実に迫っていく。

で、引っ張るだけ引っ張ったラスト数行。
主人公と読者はいきなりスーパーナチュラルホラーな世界にぶち込まれるのだった。
いや本当に怪作だと思う。
純粋なSFではないし、合わない人は全然駄目かもしれない。
でも、私はこの作品大好きなのだ。

味わいはクーンツの作風にかなり似ている。
もう少し遅く世に出ていたら、日本でもベストセラー作家になっていたかも。
0366天文学者2005/09/06(火) 01:16:02
『キャッチワールド』  クリス・ボイス  (1975)

何がナンだかよく分からないが「それでも凄い!」と言い切れる稀有な作品。
とにかくストーリーやら設定やら、すべてがハチャメチャなのである。
初っ端なんて、いきなり靖国神社に参拝する主人公から物語は始まっちゃうし。
多分日本をよく知っていて、その上でワザと歪めて描写しているような気もする。
その辺りスチャリトクルの『スターシップと俳句』に似ているかも。
母艦の名前なんて『憂国』だもんなぁ。

歪んだ日本のイメージ。ラムジェット推進。ノヴァ化による惑星破壊。
恒星間における艦隊戦。サイバーパンク。機械知性。ファーストコンタクト。
ESP。人格のシミュレーション。それによる人格統合。
これだけでもお腹一杯だというのに、まだ足りないというのか、後半は更に黒魔術
だの悪魔憑きだのといったオカルト的要素までドカドカ投入される。

もう何というか、読む端からどんどん新しいネタを投入しまくって、一体どこへ
連れて行かれるのか皆目見当も付かぬうちに、どどーんとラストへ突き落とされる。
いや、もう本当に訳がわからねェッ(爆)。

ハードSFとしても、サイバーパンクとしても、ネタが満載、ネタの闇鍋。
斬新(過ぎる)アイディアが「これでもかっ」とテンコ盛り状態。
とにかく全編コレ“さいえんすぱわふりゃぁ!”な一冊なのである。
ホント、別の小説が軽く二、三冊は書けるだけのアイディアが投入されている。
ボイスはこの一冊だけの一発屋みたいだが、しかしこの一冊で歴史に残るには
十分なのであった。カルトになるべくしてなった、早過ぎた怪作。
0367名無しは無慈悲な夜の女王2005/09/06(火) 20:58:41
すごいおもしろそう!
0368名無しは無慈悲な夜の女王2005/09/07(水) 09:17:11
>>366 『キャッチワールド』
さる所で聞いた話なのだが、これってあのアニメ『トップを狙え』の原作なんだって
いうのはホントなの?
本当に原作だとしたら、どこまで忠実なんでしょうか?
教えてクンでスマソ。
0369名無しは無慈悲な夜の女王2005/09/07(水) 15:38:10
>>368
「宇宙の戦士」が「機動戦士ガンダム」の原作だ、
くらいの信憑性じゃないのかなあ。
0370天文学者2005/09/08(木) 00:08:07
『銀河ヒッチハイク・ガイド』  ダグラス・アダムス  (1979)

ある日突然、地球は銀河バイパスの建設用地に指定されてしまう。
立ち退き命令はきちんと出されたのだが、遙か彼方の惑星の片隅に貼られていた
ため誰も気がつかない・・・という訳で、冒頭いきなり地球が破壊されてしまう。

いきなりかよっ!(笑) まったく唐突にも程がある。

ってなもんで、一人生き残った冴えない英国人――残念ながら紳士ではない――
は助けてくれたベテルギウス人と共に、銀河宇宙をさまよう羽目に。
「銀河ヒッチハイク・ガイド」とは、宇宙をヒッチハイクして回る恒星間旅行者
必須のハンドブックなのである。こいつとタオルさえあれば、銀河系で困ること
はないらしい・・・いい加減な記述もかなりあるが。

元はといえば、BBCラジオの人気ドラマを展開したSFシリーズなのだとか。
爆笑はしないけれども、所々にニヤッと口元を歪めてしまうシュールなギャグが
詰め込まれている。この辺りのセンス、実にイギリス的なんだよなぁ。
「モンティ・パイソン」やら「レッド・ドワーフ」みたいなテイスト。

実はシリアスなSF的設定が徐々に判明するのだが、一向に物語はシリアスに
ならない。つーか、逆にどんどんハチャハチャ脱線して行ってるし。
シリアスという言葉が、これほど似つかわしくないSFも珍しい。

このたび映画化されたようで(当然コメディ)、小説の方も併せて再販された。
心に余裕がある人(笑)ならば、是非読んでみてもらいたい。
0371天文学者2005/09/08(木) 00:28:16
今夜は一転軽〜い一冊をば。
しかし、何で今頃映画化されたんでしょうね?
欧米映画業界、マジでネタ切れなのでせうか。

>>368
ん〜、“原作”っていうより“元ネタ”って感じなんじゃないですかね。
369さんの言ってることに近いような。
『トップ』もえらくトンデモない作品らしいですが、『キャッチワールド』
のトンデモなさってのは、古今無双ですから。(笑)
SF者が読んだら、のけぞること間違いなしの一品です。

でも絶版なんだよな。もったいないものデス。
ある意味、ギブスンよりもサイバーパンクしているのではないかと。
それもハードSF風味を押さえながら。凄いッス。
0372名無しは無慈悲な夜の女王2005/09/08(木) 10:37:05
>>370
>> 一人生き残った冴えない英国人――残念ながら紳士ではない――
イギリスの中の人が怒るぞwww
0373古いぞ2005/09/09(金) 19:50:17
♪ジンジンジン、紅茶とジンで〜イギリス人
0374名無しは無慈悲な夜の女王2005/09/09(金) 22:30:48
>>372
大丈夫だ、真のイギリス人は、それすらも楽しむ
0375名無しは無慈悲な夜の女王2005/09/09(金) 23:41:28
>>373
なつかしい。よくそんなの思い出すね。
0376おばちゃん2005/09/10(土) 11:08:26
映画銀河ヒッチハイクガイド関連として
「ショーン・オブ・ザ・デッド」がおすすめ。
ワンシーン、監督がゾンビで、主役が友情出演ぎみに出てます。
0377天文学者2005/09/14(水) 18:46:55
『ソラリスの陽のもとに』  スタニスワフ・レム  (1961)

あまりにも有名な“生きている海”という異星生命体を持ち出したSF。
惑星ソラリスの表面ほとんどを覆う、総重量170億トンの異形の液体生物。
ソラリスの公転軌道を操作するほどの能力を有する。まさしく圧巻だ。

これだけ巨大で異質な存在が相手だと、到底人間の理解できるものではない。
それでもコンタクトしようとする科学者に対し、海は不可思議な反応を見せた。
死者を蘇らせたのだ――それも、その人が一番大切に思っていた人を。
復活した死者は海の分身という訳ではなく、固有の自我を持っている。
もうコンタクトどころではなく、かくしてソラリスのステーションにはニート
ばかりが溢れかえっていく・・・

この世にあることは人間が理解の及ぶ物ばかりではない、という諦観めいた作者
の考えが強く押し出されている。
それでも、“海”の存在する可能性を思うたびに、ワクワクしてしまうけどね。

海外では死者復活の行を指してか、一風変わった恋愛小説、などと評されたこと
もあったらしい。レム本人は非常に不本意だったそうだが。
色んな切り口が楽しめるというのも、この作品が時を超えて愛される理由かなと
一SFファンとして思う。

“あの”タルコフスキーによって映画化もされている。
小説は純粋なファーストコンタクトものだが、映画はどちらかと言えばインナー
スペースものとでも呼ぶべき、非常に難解な出来であった。
個人的にはこういうのもアリだとは思うが、レム自身はそう思わなかったようで、
怒り狂ったあまりクレジットに名前を載せることを拒否したそうで(笑)。

つい最近再び映画化されたが、やはりレムは怒り狂った様子。
御大レム、老いてなお血気盛んである。
0378名無しは無慈悲な夜の女王2005/09/14(水) 20:57:35
>>377
天文学者さんはすでに国書のレム・コレクションも読んだのですか?
0379名無し物書き@推敲中?2005/09/16(金) 12:38:15
:
0380メモリーまだ?2005/09/17(土) 11:47:46
「前世再生機」
「秘密国家ICE」
ハヤカワからでてたけど
おもしろかったです〜
0381名無しは無慈悲な夜の女王2005/09/17(土) 19:58:43
>>377
お話そのものはメロドラマ











でもそこがいい
0382名無しは無慈悲な夜の女王2005/09/17(土) 20:06:55
>>ソラリス

たしか主人公、はじめは自分の頭が狂ったかと思って甦った恋人殺しまくるんだよな。
ロケットに放り込んで外宇宙に放り出したりして。
そのうち「ダメだ、俺にはやっぱり殺せない!」なんて心変わりするんだけど。
(すでに殺してるじゃねーか、って突っ込みはナシ)

しかし、甦ってきた恋人がまた健気でさ。最後は自分で○○を選ぶんだよね。
やっぱ恋愛小説だといえると思うよ。

・・・一番愛していた人が生き返ってきたら・・・あなたはどうする?
カジシンあたりにリライトしてもらえば、えらく面白くなりそうな予感がする。
0383名無しは無慈悲な夜の女王2005/09/18(日) 10:33:07
つまり「黄泉がえり2 ソラリス」?
0384名無しは無慈悲な夜の女王2005/09/18(日) 15:46:48
我はロボット
クローム襲撃(ニューロマンサーでも可)
あとはウェルズの作品と
ローガンシリーズだな。
0385名無しは無慈悲な夜の女王2005/09/19(月) 23:53:08
新作ソラリスは、レムではなくベアだ!

って長いこと言いたかったんだよね。
0386名無しは無慈悲な夜の女王2005/09/20(火) 20:51:44
「スラン」すごく面白かったです。
0387名無しは無慈悲な夜の女王2005/09/21(水) 02:09:40
超能力者を追い詰めちゃうオバアちゃんは最強だと思う。
0388天文学者2005/09/21(水) 21:28:42
『ストーカー』 アルカジイ&ボリス・ストルガツキー (1972)

ストーカーと言っても、今流行りの粘着後つけ回しクンのことではない。
異星人が地球上に残していった痕跡「ゾーン」に不法侵入して、そこから様々な
超文明のブツを持ち出す者のこと。語本来の意味通り「密猟者」という意味だ。

いわゆる普通のSFを読み慣れた人は途方にくれるかもしれない。
設定からストーリーまで徹頭徹尾、読者を突き放しているのだ。
異星人が残していった物品や、ゾーンの特性についての謎解きは、まったく
成されない。人類があーでもないこーでもない、と右往左往するだけ。
ソラリスっぽいというか、共産圏のSFってこんな感じなのかな?

原題は『路傍のピクニック』。
ピクニックの途中で棄てられたゴミは、そこの虫たちに何の意味があるのか、と
いう発想からこの作品は生み出されたらしい。
ここでは、ゴミ=ゾーンに残された超文明ブツであり、虫=人類なのである。
凄い視点の転換。これこそSFの醍醐味だなぁ。

ゾーンに振り回される主人公の様は、ページを追う毎に凄まじく荒れていく。
家族や幸福というものについて色々と考えるのだが、どんどん独り善がりなもの
に陥っていくのだ。ラストは無惨で印象的。
「誰も不幸なままで帰しゃしないぞ!」という台詞が、じつに虚しく響く。

合う人にとっては傑作、合わない人には「なんじゃコリャ!?」な一作です。

ソラリスと同じく、過去にタルコフスキーによって映画化されている。
終始暗〜いゾーンの中を、ひたすら主人公たちが這いずり回る映画であった。
原作に忠実なのかそうでないのか、イマイチ判じかねる。
まぁ“あの”タルコフスキーがいわゆる普通の映画なんぞ撮る訳ゃないか。
でもレムと違い、ストルガツキー兄弟の名前はクレジットにちゃんと載っている。
大人なんだなぁ〜、と思った昔日の私(笑)。
0389天文学者2005/09/21(水) 21:39:08
>>378
レム・コレクションってたしか、原語から新しく翻訳しなおしたシリーズですよね。
いえ、まだ読んでおりません。早川版を所有しているからなぁ。
わざわざ買ってまで読み直さないかも。
私は、とりあえず読めればOKな人ですんで。
短篇は買い逃したものがあるので、そちらが収録されたら買うかもデス。

>>380
両方とも一級の娯楽作品ですね。キース・ローマーが気に入られたならば、
ぜひ『優しい侵略者』『多元宇宙SOS』も読んでみてください。
楽しめること請け合いです。
入手するのが困難かもしれませんが・・・。

>>381-383
うーむ、なるほど。メロメロな部分に注目して読み直してみようかな。

>>386-387
『スラン』、これも名作ですねぃ。そのうち感想を書いてみたいデス。
0390天文学者2005/09/25(日) 16:37:33
『スターキング』 エドモンド・ハミルトン (1947)

主人公ゴードンは悩んでいた。最近、頭の中で声がするのだ。
疲れているのかなぁと疑ったが、じつは(不幸なことに)声は本物だった。
という訳で、ゴードンは銀河帝国の王子様と精神を入れ替えられてしまいました・・・。
ハミルトンの精神交換ネタで、一風変わったスペースオペラ。

遊び人の王子様に目を付けられたのも不幸だが、目を付けられた理由が「たまたま
波長があったから」というのもじつに不幸!って誰でもよかったのかヨ?
この銀河帝国、激しい星間戦争の真っ只中。な、なんて不幸なんだ!
最終兵器を出すように要請されるゴードン。王族以外の人が近づくと“あぼーん”
されてしまうんだと。グレートに不幸じゃないか!
自分は王子じゃないと打ち明けても誰も信じてくれない。ますます不幸だ!
何とか引っ張り出した最終兵器だが、誰も使い方がわからない。
「だって王族の方にしか使えない武器ですから」 極めつけに不幸!
っとさんざ騒いでる間に敵艦隊はもう目前。どうする?っていうかどうなる!?
まったくギャラクティカ不幸だぜっ!

・・・という感じで、とことん不幸と試練のドミノ倒しに襲われる我らがゴードン。
もう抱腹絶倒、ハミルトンのイメージがガラリと変わること請け合いの娯楽作。
この最終兵器が実にトンデモ兵器だったためか、これ以降ハミルトンは『スペース
デストロイヤー』という勇ましい二つ名をいただくことになる(笑)。
本人もなかなかトンデモなく素敵なお人だったようだ。

ところで、冴えないサラリーマンに入れ替わった王子様の方、作品中で語られること
はないけど、苦労しなかったのかなぁ?
高千穂遥なら、この王子様を主役にしてもう一本作品を書いているところだな(笑)。

この王子様、よほど地球の居心地がよかったのか、この後呼ばれてもいないのに再び
ゴードンを召喚することになる。続編『スターキングへの帰還』、併せて読むべき。
0391名無しは無慈悲な夜の女王2005/09/26(月) 19:05:03
ハミルトン好きなんですね。
0392天文学者2005/09/26(月) 20:46:35
『サターン・デッドヒート』  グラント・キャリン  (1986)

土星の衛星で、異星人の手になる遺物が発見された。
分析の結果、なんと他にも遺物は存在しており、全部集めると異星人からの贈り物が
手に入るというのだ。かくしてスペースコロニー側と地球側の、遺物争奪のデッドヒート
が始まった! こう設定だけ書くと、某ガ○ダムのシナリオみたい。

とにかく面白い! SFとしても物語としても抜群の快作。
コロニーや土星での日常生活が、やたらとリアリティ溢れる描写をされていることに
感心する。土星や衛星の風景が美しいんだわ、これがまた。
レースの舞台となる土星の描写は、当時最新の科学情報を元にしているらしい。
私にそれが本当に正しいかどうかなどわからないが、それでもここまでマニアックに
描ききってくれれば十分満足だ。

作品世界に、真の悪人が出てこないっていうのも個人的にポイント高い。
それに加えて、この小説ってキャラが立ちまくりなのだ。
口の減らない矮人科学者(でも情に厚い)。機転と度胸がもう最高。
大きい口を利くヘッポコ主人公。愚痴と泣き言が、いやもうね(苦笑)。
もうこの二人の掛け合いだけで大満足。海外にもボケとツッコミの文化がわかる人が
いるのだなぁ。ヨシモトでも通用するかもよ。

いつか実現されるであろう未来の情景。それは他でもない、今の技術の延長にあるの
だと気づかせてくれる、非常に前向きな良質SF。読むべし!
(しかし、続編の『サターン・デッドヒート2』がああいう方面に行くとは・・・)
(僕にはまったく予想できなかったよ、ママン -_-:)
0393天文学者2005/09/26(月) 20:54:22
>>391
ハミルトン大好きです。
「スターデストロイヤー」と「ワールドレッカー」のトンでもない二つ名を合わせ持つ
なんて、ホンマこの人くらいやないでしょうか。
でもまぁ、スターデストロイヤーっていうのはE・E・スミスの方が似合うかも。
(最近、レンズマン読んだもんでして ^^;)

しかし、『フェッセンデンの宇宙』やら『反対進化』やら、実にユニークなSFも書いて
いるのが凄いっス。
また自分の想像したヒーローを笑い者にする、老境のキャプテンフューチャーなんて
シチュエーションの困った怪作も書いてしまってるし。
一筋縄では行かない御人だったんでしょうねぇ。
0394天文学者2005/09/29(木) 00:14:02
『模造世界』  ダニエル・F・ガロイ  (1964)

市場調査や世論調査を目的として創られた、電脳上の仮想世界。
それを管理している主人公の日常に、ふっと挿す様々な違和感。
初めから“いなかった”ことになっている同僚。
まさか、この世界も誰かに創られたものなのでは・・・?

こんな概念のSFが、60年代に書かれていた事実に驚愕する。
今の狡すっからい読者が読めば、主人公もバーチャルな存在であるとすぐに
想像がつくのだろうが(笑)、この作品はそれだけでは終わらない。
「バーチャルなんだから、この作品世界がどうぶっ壊れても驚かないぜ!」
と高をくくっている読者は、物語が進むにつれてどんでんとひっくり返される。
二重三重と組まれたバーチャル入れ子構造、そして「え〜!?」と言うオチ。
仮想現実もののミステリーとしては、かなり完成度が高い。

しかし、この世界にドラゴンボールの孫悟空とベジータを投入すれば、
そのまんま映画『マトリックス』になる気がするなぁ。
そう考えると、マトリックスもある意味正統なSFの末裔だったかもしれない。
個人的にそんな変遷を考えてしまった一本。色々と(笑)楽しめました。

余談だが、これも映画化されている。
『13F』という名前で、当たり前だけどマトリックスとはかなりノリが違う。
・・・密かに、原作より面白いぢゃないか、と思ったのは内緒である。
0395天文学者2005/09/29(木) 19:44:12
『ソングマスター』  オースン・スコット・カード  (1980)

SFしちゃったモルモン教徒、オースン・スコット・カード。
何でもこの人、「物語を通して人のモラルの在り方を語ること」というのがSF
を執筆する動機であるらしい。
そのせいかどうか、読み進むうち度々説教をくらい、やたらと啓蒙されまくる。
本来なら辟易するところだが、これで作品は面白いのだから困ったものだ。
しかし、バリバリのキリスト教徒とノホホン日本人とでは、カードの諸作を読んで
得られる感想がまったく違うのではないかしら、どうかしら?

『ソングマスター』は比較的初期の作品なので、最近の物とは違いあまり説教臭さ
を感じられない。(個人的にはコレだけでもポイント高い)
皇帝のために調整された歌い手が様々な変遷の後、皇帝に取って代わり、そして
夢破れる。結局ソングハウスに戻り、後に続く者に自分の経験を伝えて消える。
冷徹で残酷で、でもどこか優しくてホロリとさせる。
そんなカードの持ち味は、既にこの頃から伺うことが出来る。

加藤直之さんがこの作品について、面白い意見を述べていた。
「ソングマスターの登場人物ってレンズマンで例えると、目指す目標はアリシア
なんだけど、それを達成しようとする手法がエッドールなんですよ」
うむ、素晴らしい。この一言で、見事にこの作品を表している。
やはり加藤さんってSF読み込んでいる絵師さんだなぁ。
0396名無しは無慈悲な夜の女王2005/10/01(土) 11:26:40
>>395
すみません、最後の部分がたぶん卓抜な喩えなんでしょうけど、
よくわかりません。レンズマンなんてもうすっかり忘れてしまいましたので。

でも、読まずぎらいだったカードもおかげで読んでみようという気になりました。
これからも作品の紹介をお願いします。
0397天文学者2005/10/01(土) 18:03:12
『グレー・レンズマン』 E・E・スミス (1939)

スミスが生み出した、元祖スペースオペラシリーズ。
もう有名過ぎて、レンズマンの名を知らぬ人はまさかいないのでは?
古典SFにも色々あるが、やはりこのシリーズは「原SF」とでも呼ぶべき存在
なのだと思う。今のSFにはついぞ見られなくなったパワフルさ、そしてプリミ
ティブさを併せ持っている、ある意味荒々しい作品だ。
限界を設けずどんどん伸びるという底辺の広さは、一度味わうと忘れられない。
このシリーズが“原SF体験”だったというSF者も多いのではないか。
“ス”はスペオペの“ス”だ(笑)。

個人的には二作目の『グレー・レンズマン』が、シリーズ最高傑作だと思う。
何というか、もう凄いスペオペとしてエンタメ性&センスオブワンダフリャが
溢れまくっている。とにかく宇宙空間での艦隊戦最高!
数十万単位で入り乱れる乱戦、そんなのあり!?と叫ぶ超兵器の数々。
ブラックホール作って放り投げたり、超空間チューブで惑星(!)持参して地球
にぶつけたり、太陽光線って何ですかソリャ!?
やたらめったらスケールが大きく大胆。この手が好きな人には堪らないだろう。
ただ終盤、えらくグログロな描写がされるので、苦手な人もいるかなぁ。

余談だが、某今時スペオペ風にいうと一作目から順にエピソード3、4、5の並び
となるらしい。誰が気がついたか知らないが偶然だなぁ。
確かに某スペオペと同じく、この順序で読むのが一番幸せであろう。

近年、シリーズまとめて創元推理文庫から再販された。
未読の者も既読の者も、とりあえず買うべし! SFの血を絶やさぬのだ!
・・・しかし、生頼サンの表紙絵は某幻○みたいで、私的には違和感アリアリ(笑)。
0398天文学者2005/10/01(土) 18:17:12
>>396
どーもです。
アリシアとエッドアというのは、レンズマンシリーズ宇宙における神のような
超存在です。善悪二元論の好きな欧米らしく、アリシアが善なる存在で
エッドアが諸悪の根源。レンズマンの戦いというのは、言うなればこの超越
種族の代理戦争みたいな物だったかと。

んでソングマスターの主人公アンセット、彼は理想は高いのですが、その
理想を押し通すために用いたのが、暴力で強制することだったと。
目指す目標はアリシア的なのに、その手段がエッドア的だったという皮肉
なものでした。彼がちゃんと愛されて育たなかったという点も、影響が大きい
のでしょうが。

私は加藤さんの意見を見てこの作品を読んだのですが、最期の方は少し
辛かったです。
カードの諸策は好き嫌いが分かれるでしょうが、興味があれば是非。
03993962005/10/01(土) 20:33:23
>>398
ごていねいな解説ありがとうございました。
ご教示いただいて、喩えのポイントが理解できました。
かなり普遍的なテーマで、カードのお手並み拝見といったところですね。
むらむらと興味が湧いてきましたので、今度実物を探して読んでみます。
0400名無しは無慈悲な夜の女王2005/10/02(日) 03:21:01
>>397
ダウト!!
超空間チューブで惑星輸送してきて地球ピ〜ンチ!ってのは
確かグレーの続編の『第二段階レンズマン』のはず。
太陽光線も確かそう。

いやグレーレンズマンに使用される兵器も、かなりトンデモで
ステキっwだけどね。

やっぱイイよな、レンズマン。
>>このシリーズが“原SF体験”だったというSF者も多いのではないか。
この部分には無条件で同意する。
表紙絵は、漏れは真鍋センセすり込まれているけどな。w
0401天文学者2005/10/03(月) 18:27:53
『白鹿亭綺譚』 アーサー・C・クラーク (1957)

ロンドンの裏通りにひっそりと佇むパブ「白鹿亭」。
どこを見てもごく普通のパブなのだが、水曜の夜だけは別の空間へと
変わる。その夜ここで語られるのは「完全なる消音機」「暴走した反重力」
「間違って本物の最終兵器を作ってしまった特撮マン」「知能化した白アリ」
等々・・・常連の酔客たちは「嘘だ」「いやあり得る」と喧々諤々の大論争。
SF者には正に夢の桃源郷!

という訳で、クラークのユーモラスな小ネタSF短編集である。
当時最新?の科学知識を元にでっち上げた、素敵すぎるトンデモ技術の
数々が楽しめる。ある意味マッドサイエンティストものとも言えるかも。
後書きによると、SFとユーモアの合体なんてムリだと言われたクラークが
「何を!だったら俺が実証してやらァ!」みたいなノリで書き上げたらしい。
・・・意外に負けず嫌いな御人なのかもしれない。

書かれた時代が時代なので、日常描写等に古臭さがあるのは否めないが、
それをものともしない魅力が全編に満ち溢れているのよコレが。
オチまで秀逸、ケチをつける隙のまったくない傑作『ビッグ・ゲーム・ハント』や、
意図せずに世界征服を狙ってしまうマッドな科学者の物語『隣の人は何する
人ぞ』あたりが個人的にお勧め。『反戦主義者』の馬鹿馬鹿しさも捨てがたい。

明らかに「こりゃおかしいだろ」ってネタもあるが、ニヤニヤ笑って楽しむのが
本書の正しい楽しみ方だろう。軽く洒落たSF法螺話が好きな人、必読の書だ。
こんな酒場どこかにないかナァ。私は下戸だけど、飲みに行っちゃうぞ(笑)。
0402天文学者2005/10/03(月) 18:31:14
>>400
あぁっ!?
そうだったやもしれませぬ(汗)。ってか、その通りでした。アウ
1〜3巻は一気に読んだもんでして、ゴッチャになっていたのかも。
鼻で笑ってスルーしてくださいまし。
0403名無しは無慈悲な夜の女王2005/10/03(月) 21:50:34
>>401
ニーヴンが似たようなタイトルでシリーズものを書いていたように思うのですが、
ひょっとして関連があるのでしょうか?
0404名無しは無慈悲な夜の女王2005/10/03(月) 21:59:53
>>403
「ドラコ亭」のことかなー。

バーやクラブを舞台にした、そこに集まる人たちやマスターの体験談や
ホラ話で構成された話ってのは、古今東西いっぱいあるからなー。

ミステリーだと、常連に聞かされた話をマスターやボーイが聞いて謎を
解く、ってパターンもあるし。
SFな話ではちょっと珍しいかもだけど、シリーズものではない短編なら、
ハインラインやハミルトンといった大御所もいろいろ書いてる。

アシモフなんか、ミステリーでもSF(どっちかっつーとファンタジー寄りかも)
でも書いてるしね。
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