『人間以上』  シオドア・スタージョン  (1953)

一風変わった印象を受ける超能力者SF。
敗れて穴の開いたキューピー人形の笑顔が表紙。インパクト有り過ぎ。
てっきりホラーかと思い呼んでみた中学生時代の私。
(最近カバーが刷新されて再刊された)

本作品で採用されているのは、集合人(ホモ・ゲシュタルト)というアイディア。
一人一人では生活不能者の者たちが、リンクすることで一つの生命体として活動できる。
超能力者版カツオノエボシ、とでも言おうか。

個人的に、この作品のテーマは“孤独”であろうと思う。
真に一人ぼっちだった頃は、孤独なんて知りも考えもしなかったが、ゲシュタルトに属し
他人と係わることで逆に、初めて孤独というものを知り寂しさが募る、といった感じか。
SF的なアイディアが、他者との係わり合いと孤独を表現することに使われている。

なんというか、切ないお話である。
大人になってからでないと、この切なさは真に理解出来まい、と思う。