アマタリシオホキミにまつろわぬ民、王道の妨げとなるオホナの民、そのムチ。
時のヒナメシノミコでありタラシヒコの忠実なる僕、ヒヒロヌカは、それを征伐せんと
オホマツリゴトノマエツギミに命じ、大将軍サカイベノオミ、副将軍ホヅミノオミを任命した。
実際、オホキミはヒナメシノミコに悉く内外の事を委ねていた。
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これらの動きを察知したムチは、オオナノヤマから火の雨を降らし、オホキミの軍勢をことごとく殺した。
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ヒナメシノミコは、次に自らモノウチノツルギを携え、オホナの国へ向かった。
途中、オコシでアナムシノヒメとまぐわい、子を設けた。これがヤマトノマリセヒコである。
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しかしアナムシノヒメはモモソテノムカデであった。モモソテノムカデはヒヒロヌカを食い殺そうとした。
ヒヒロヌカはとっさにモノウチノツルギをムカデの尻から剣を突き刺し、二つに裂いた。
「おおアナムシノヒメよ、お前がムカデであったとは信じられぬ」
ヒナメシノミコのヒヒロヌカはおおいに嘆いた。泣き声はヤマトまで届き、秋になった。
ヒヒロヌカは地面にモノウチノツルギとマガタマを埋め、自らの首を刺し、死んでしまった。
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ついにオホキミは、最後の子であるオオモノノトチヒコにムチの征伐を命じた。
オオモノノトチヒコはオホキミの末の子である。


五世紀でも充分。