豊臣秀吉による醍醐の花見の時のこと。
秀吉の近習の者達が、徳川家康のことを言い出し、種にして悪口をし大いに笑っていた。

秀吉はこれを聞くと、このように言い出した

「家康の藝は3つあり、それは常人の及ぶものではない。
第一に、武略が衆に優れている。
第二に、思慮良き人物である。
第三に、金銀を多く持っている。

この三つは人に笑われるべきではない大藝である。
お前たちは一体、何を笑っているのか?」

しかし近習達はこれを聞いて
「いったい徳川殿の何が良くて、殿下はいつも贔屓をされるのか?」
と言い合ったそうである。

(徳川実紀)