戦国ちょっといい話40
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0435人間七七四年
2014/08/05(火) 11:54:10.10ID:b8dJHAwn小幡城へと入った。
ここに榊原康政、大須賀康高らが御前に出て、この様に申し上げた
「今夜、敵陣の様子を伺いましたが、秀吉の軍は日中長途を駆けてきたので、皆疲れ果て
正体もなく倒れるように眠っています。ここで夜討ちをかけて辛き目を見せてやりましょう!」
しかし家康は首を振り、「いやいや」と言ってこれという仰せもなかった。
皆が御前を下がった後、家康は本田豊後守広孝を召して、
「お前は城門を巡視して、一人も門外に出さないように」
と命じた。
そして間もなく湯漬けを食すと、出陣を触れ、『なるべく物静かに揃え』と命じた。
このため皆『必ず夜討をかけるのだ』と思っていたが、そうではなく、家康は小牧城へと入った。
これに人々は、思いもよらぬことだと感じた。
後日、家康は浜松城において、この時のことを語った
「あの時、お前たちが夜討をかけろと言ったのは、秀吉を討つことが出来ると思ってか?
それとも、ただ戦に勝とうと言うまでのことか?」
一同、顔を見合わせて、ややあって
「秀吉を討ち取るまでは考えていませんでした。ただ、戦えば必ず勝利すると思って申し上げたのです。」
家康はこの答えを聞くと
「私もそのようには思った。だが、敵を皆殺しにしたとしても、秀吉一人を逃してしまえば
却って悪しき事態となったであろう。昼の合戦において池田・森の両人を討ったことさえ、
一人でも良かったと思っていたのだ。」
と言った。
(岩淵夜話別集)
小牧長久手合戦が、家康にとっても色々と難解な戦であったことを表す逸話である。
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