近年金沢市の研究家により、「最上駿河守辞世并詠哥」という五言絶句と和歌の掲載された文書が紹介された。
最上駿河守とは義光の子・家親をさすが、「六十余霜」とあることから、
義光の辞世である可能性が指摘されている。

一生居敬全
今日命帰天
六十余霜事
対花拍手眠

一生居するに 敬を全うし
今日 命天に帰す
六十余霜の事
花に対ひ手を拍ちて眠らん

私は一生敬を全うしてきた
わが命今日、天に帰る。
六十年あまりの年月はただ茫々。
咲く花に手を打ち、眠るとしよう。



有といひ 無しと教へて
久堅の 月白妙の
雪清きかな

有るといい無しとも言う、有無は心がけ次第だ。
空に高く月は白く、真白い雪は清らかだ。


和歌は義光の幼名(白寿)、諱(光=明るい、白い)、戒名(光禅寺殿玉山道白大居士)、
そしてこれが辞世だとすればここにも「白」が入っているのはなかなか興味深いと思う。