(つづき)

武藤光安の下に山形の最上義光が兵を上げ、庄内へと向かっているとの報が入った

武藤光安「草苅備前からの情報で用意は万端じゃ。この地を義光の死に場所にしてやろうぞ」

大川を挟み武藤軍と最上軍が対峙した

最上方の先鋒は白地に「の丸」の旗の楯岡満茂

いくさは武藤軍有利かと思えたが、武藤軍の後方の味方から叫び声が上がった

「後陣の川越中務、裏切りでございます!」

前に最上軍
後ろに中務の兵

武藤軍は蜘蛛の子を散らすかの様に打ち破られ
逃れられぬと悟った武藤光安は馬上で喉を掻き斬りあえない最期を遂げた



最上義光「備前、ご苦労。面倒を掛けたな」
草苅備前「いえいえ、お気になさらずに」

義光は川越中務に武藤光安の旧領を与えようとしたが
中務は武藤光安の菩提を弔うために仏門に入る事をお許しくださいと断り
義光は武藤光安と中務のためにその地に寺を建立した

『最上記』

鮭様の謀将を匂わす一面の記録

※武藤光安は実在が不確かとされています

※「悪屋形光安」と書かれる事から
武藤光安は大宝寺(武藤)義氏との同一人物説や混同の可能性もありますが
義氏は山形に身柄を移され
殺害されたといった話もあります