蒲生氏郷はおおよそ夜話で化物話を好んだ。そのうえ武者話に
なったなら、かわるがわる退屈しないものと氏郷は思っていた。

化物話から武話になり移ると夜が白むので、とにかく蝋燭を
二挺に限って夜話を止めて退出した。

夏の短夜には二挺でも夜が更けるので、短夜には蝋燭を
短く切って風所に灯して置くなどし、夜話を止めたとのこと。

――『武功雑記』