ある時、黒田長政が小早川隆景に尋ねたことがあった
「分別というものは、どのようにすればよいのでしょうか?」

隆景は答えて
「それは仔細もありません。ただ、久しく思案して、遅く決断するのが良いのです。」

長政はまた質問した
「分別するにおいて、肝要なことはあるのでしょうか?」

隆景は答えた
「あります。分別の肝要は『仁愛』です。どんな事であっても決断するときに、あわれみの心をその基礎において分別すれば、
その思慮に理屈に合わないところがあったとしても、最も良い判断から遠く離れることはありません。

逆に、仁愛のない分別は、才覚がどれだけ巧みであったとしても、みな道理に合わない間違いである。そのように
知られるべきです。」

(黒田家譜)

小早川隆景の考える、決断に必要なことである。