こおり山のキツネ

吉田郡山城の北にあるなんば谷に、年をとったキツネが棲んでいた。
銀色の、それはそれは美しい毛並みのキツネであった。
猟師がそれを獲ろうとしても獲ることが出来ず、やがてその美しさは毛利元就の耳に入った。
殿様は非常に情け深いお方であったので、

「その様に美しい狐なら、なおさら殺してはならない」

と命ぜられ、その旨を記した高札を出した。

キツネはこれを見て感激し、やがて尼子が郡山城を囲んだ時、家来を連れて毛利に加勢した。

彼らは、馬糞でごちそうを作って敵方に送りつけたり、提灯で敵が襲撃してきたように見せるなど、
尼子への妨害作戦を行い、これに疲れた尼子はとうとう去っていった。

元就はキツネの働きに感謝し、郡山の森山を彼らへの褒美として与えた。
それからキツネは、侍に化けて山の見張りを続けたそうである。

(広島の昔話)