戦国ちょっといい話35
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0173人間七七四年
2012/10/31(水) 22:11:55.45ID:K68WsBuF義弘が戦場を馬で回っていると、敗走する伊東勢の中で殿軍をつとめる騎馬武者が
目にとまった。
「我は島津兵庫頭なり! いざ勝負せよ!」
と大音声で呼ばわれば騎馬武者も名乗り返し、
「総大将御自らとは光栄! 柚木崎丹後守、参る!」
馬を駆って向かってきた。柚木崎(ゆきさき)丹後守正家は日向柚木崎城の城主で、
伊東勢の大将のひとりである。
義弘と丹後守は二度三度と槍を合わせるも、丹後守が馬から落ちて地面に転がる。
こうした場合、本人が馬から下りて討つか、徒歩で付き従う家臣郎党が討つのだが、
このとき主人の意を真っ先に察したのは義弘の乗馬だった。
この馬が前足の膝を折り曲げて地面につけたのである。義弘は槍を下に向けて突き、
みごと丹後守を討ち取った。
義弘は夢のお告げを正夢にしたこの馬を「膝衝栗毛(ひざつきくりげ)」と命名し、
非常に大切にした。
『名将言行録』によれば、義弘は生涯52回の戦いのうち20回余りをこの膝衝栗毛に跨って
臨んだという。
膝衝栗毛は馬としては非常に長命の86歳まで生き、鹿児島県姶良市の亀泉院跡に墓が残されている。
加藤清正の帝釈栗毛、鬼武蔵の百段にも劣らぬ、島津義弘の愛馬のお話。
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