身代わりとなった猛将

このスレでは『主君家康の鯉を食った男』として名前が出てきた鈴木久三郎。
彼は三方ヶ原の戦いでも従軍していた。
しかし味方は大苦戦、家康もあわやと言うところまで追い詰められる。
見かねた久三郎はこう言い放った。

鈴木「それがしが殿の旗印をいただき、身代わりとなりましょう!」

しかし家康は首を縦に振らない。

家康「お前一人に討ち死にさせて私が落ち延びることなどできん!」

と聞き入れなかった。
すると久三郎、大いに怒って家康に怒鳴りつけた。

鈴木「なんと、馬鹿なことを仰る! いいから貸しなさい!」

久三郎は家康の旗印をひったくると、ただ一人敵のほうへ引き返し、そのまま突っ込んでいった。


その後、久三郎や夏目吉信らの身代わりもあり、家康はなんとか浜松へ帰城した。
しかし、家康の顔は晴れない。
身代わりとなった家臣のことを気にかけていたのである。

家康「久三郎は討ち死にしたか……」






鈴木「殿ー! ただいま帰り申したー!」
家康「なにー!?」

が、久三郎、帰ってきた。
家康は驚くやら喜ぶやらで、久三郎を褒めた。

家康「よく切り抜けて帰ってきた!」
鈴木「いやあ、思ったよりも手強くない敵でした」

久三郎、あの武田軍相手に涼しい顔であったそうな。


身代わりになったと思いきや、生きて帰ってきた猛将のお話。