高坂昌信はある時、同僚の曽根昌世に品行の良し悪しと大将の優劣について問われた事があった。
その際、昌信は織田信長を例に挙げ

「あの男は粗野だが、人の目利きは上手で有能な家臣を取り立てている。扇や鼻紙は忘れても、刀や脇差は忘れない
 タイプだ。その点、行儀は良いが家臣の陶晴賢に国を乗っ取られた大内義隆は信長とは全く逆だ。」

と話した。これに真田昌幸は

「では、信長の領地の治め方はどうでしょうか?」
と尋ねると

「有能な家臣に大国を与えている為に非常に危うい。もし信長が死ねば、そうした家臣たちが長男の信忠を
 破るだろう。ただ、信忠や次男の信雄も優秀であるから、信長がうまく対処しておけば問題なく国は治まるだろう。」

と語ったという。 高坂弾正の信長に対する評価がわかる逸話である。