戦国ちょっといい話28
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0189人間七七四年
2011/08/23(火) 20:56:54.48ID:IqGfXAPc紀州藩附家老・安藤直次は、紀州頼宣は元より、尾張義直、水戸頼房の徳川御三家当主から信頼され愛されていた。
老いた直次が三人に従い、江戸城内紅葉山へ登った時、頼宣が右手をとり、義直が左手をとり、頼房が腰を押した事は、
幕閣、初藩士に広く知られていた。
そんな直次が、最晩年になってからの出来事。
江戸城中でとある儀式が営まれた時、水戸頼房の装束の袖に伊達政宗の烏帽子が引っ掛かり落ちてしまった。
政宗は公の場で恥ずかしい思いをし大いに怒った。
儀式の後にこの顛末を聞いた直次は、下城すると直ちに政宗の屋敷へ出向いた。
政宗が諸大名の前で怒りを露わにした事を、頼房に詫びさせねば徳川御三家の威信に関わるからである。
政宗の家臣が、政宗は病気で会えないと伊達屋敷の玄関で断ると、
「病気でも結構、御床へ参上致す」と家来たちを押しのけ、政宗の寝所へ押しかけた。
驚いて飛び起きた政宗に大声で
「中納言(政宗)殿には、本日の城中でのおふるまい、大きな心得違いをしておられる。
水戸殿は亡き御主君である家康公の御子なるぞ。
直ちに水戸殿へお越し召されお詫びに出向かれよ。ご同道つかまつる!」と告げた。
政宗は直次の全身から漲る異様な殺気に圧倒されつつ逆らったが、
「とにかくお仲直りなさるべし。早く袴を召されよ」と、有無を言わさぬ勢いで身支度を整えさせ水戸屋敷へ連行させた。
直次と共に頼房の御前に出た政宗は、
「本日は政宗が心得違いを致し、無礼つかまつった。何卒今まで通り思し召されたしとて、参上致しました」と詫びを入れ、
頼房は快く受け入れて何事もなく終わった。
この時に政宗が無礼な振舞いをしたら、直次は政宗をその場で刺殺し自分も死ぬつもりであった。
何事にも命懸けで相対する安藤直次のちょっといい話
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