戦国ちょっといい話24
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0199人間七七四年
2011/01/11(火) 13:03:11ID:aHs1UwMd徳川家と真田家が戦った第一次上田合戦の際の話。
真田家の家臣に深井某という者がいた。
この深井某、一日に三度手柄を立て、その全ての手柄に感状を賜ったという程の武
勇の主として知られていた。
真田軍の仕掛けるゲリラ戦によって徳川軍が総崩れになった時の事。
「待てぇ〜〜いっ!」
逃げて行く敵の中に、立派な身なりの武士を見つけた深井、「良き敵を見つけた」
とばかりに追いすがる。
「待て待てぇ〜〜〜〜!!」
総崩れの徳川軍の中、一人踏み止まって戦う馬鹿などそうそう居ない。勿論逃げる。
追う深井。
逃げる、追う。逃げる、追う。どこまで逃げても、どこまでも追う。
しかし、遂には追いつき、深井はまた一つ、兜首を討ち取る事に成功した。
「まったく往生際の悪い奴だぜ、一体どこまで逃げるんだか。なぁ、皆もそう思わ
んか?」
深井は周囲にいる筈の味方を見回し、苦笑を浮かべて言った。
が、何か様子がおかしい。
「いやぁ、俺等としては、お前がどこまで追いかけてくるのか、そっちの方が気に
なるなぁ」
右を見る。左を見る。も一度右。
敵。敵。……やっぱり敵。
後ろを見る……川。
「あ、あれ……? ここ……どこ?」
「敵陣」
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