ある時、ある所で、ある男が釣りを楽しんでいた。
静かな畷に糸を垂らし、魚の目の前でチョンチョンと針を揺らしてみせる。
と、
「フィッシュオ〜〜〜ン!!」
澄んだ畷の中で、大きな魚が針を口にするのが見えた瞬間、男は勢い良く糸を引い
た……引き過ぎた。

ビタン!!
目の前で大きな音がする。魚が何かに討たれた音だ。

釣りとは言っても、沼地に誘い込んでの火縄伏兵だけの、簡単な仕掛けである。
勿論、現代の釣り針のように『指向性地雷』などという物が付いている訳ではない。
つまり、勢い良く引っぱった為、魚は重臣もろとも、奈落へとすっ飛んで行って
しまったのである。