「おゆるし下さいませ〜!おゆるし下さいませ〜!」

関が原の合戦が終わり、家康が戦後の領地分配を考えていた時のこと。
江戸城の御次の間、「佐渡柱」として有名な柱にもたれかかっていつものように居眠りをしていた
本多正信が突然、うわ言のようにそんな言葉を発した。

これを聞いた徳川家康、正信を起こして

「どうした佐渡、何かあったのか!?」

「はっ!?ゆ、夢でしたか。いやはや上様、先に少将(結城秀康)様がに与えられる予定の
越前のうち、敦賀は重要な港湾であるから幕府直轄にし、代わりに少将様には他の地を与える、
という話がありましたな。」

「ん?ああ、そんな話があったな?」

「先ほど夢のなかで、少将様がその事を知り大いに怒られ、私に『お前のせいだ!お前のせいだ!』
と殊の外叱りつけられたのです。それでたいへん驚いたのですが…、
いやはや夢でしたか、良かった良かった。」

「…」

正信の伝えたいことを察した家康は、敦賀を含めた越前一国を秀康に与えた、とのことである。

本多正信、夢で結城秀康に叱られる(?)、と言うお話。