細川幽斎はあるとき、こんな事を語った

「私は連歌における作法の大切さを、三好修理太夫(長慶)殿から学んだ。

連歌の席において修理太夫殿は、まるで人形であるかのようにじっと座られていた。
膝の傍らには扇が、少し斜めに置かれていた。

夏の暑い時期などは、その扇をいかにも静かに右手に取り、左手を添えてそっと三、四間だけ
開き音を立てずに使い、終えるとまた左手を添えて閉じ、元の場所に置いた。

驚くべきことにはその置いた位置が、前と畳の目一つほども違っていなかったのだ。」


若き日の細川幽斎に感銘を与えた、天下人三好長慶の連歌の作法についてのお話。