父上も柄にもなくはしゃいでおられる…

私は宴を抜け出し、ひとり裏庭を歩いていたのでござりまする。
遠い三河国の松平との秘密裏の同盟。父上は遠交近攻とおっしゃって
おられまいたが…
松平家の当主である竹千代様は十二歳(史実とは変えてありまする)。
意志の強そうな瞳と固く引き結ばれた唇が印象的であられまいた。

と、桜の老木のかげにチラッと何かが見え、私は「誰だ!?」と誰何の
声を上げたのでござりまする…