浅井が問題になるのは、鏡に「悪い自分」が映し出される場合です。
浅井は叩きという鏡を通して、自分の醜い姿を見ることになるのです。
そして、叩きという鏡に向かって敵意を露にし、
嫌悪感や憎悪を剥き出しにするのです。こうすることで、
自己嫌悪を回避することができるのです。
本来の自己嫌悪というのは、
自分の中にある醜い部分を見つめることで発生するのですが、
この醜い姿を強引に他人に押しつけて、
その憎まれ役を割り振った人に対して嫌悪感を向けるのです。
つまり、自己嫌悪を、他者嫌悪へとすり替えてしまうのです。
こうすれば、悪いのはすべて他人ということになりますので、
自分自身は善人のままでいることができますし、
自分で自分を嫌悪しなくてすむわけです。