はははははっ…信玄殿も里見殿も小山田殿も、女形を演じるには…ん…、どうも典雅さが足りないねえ。
どれ、あたしも女形に着替えてひとつ舞でも舞ってみようかい…。
このようなことは、美しさと優雅さを併せ持つあたしこそがふさわしいはずさね…。

ん?

どうしたんだい?笛の奏者の顔が心なしか青いような…具合でも悪いのかねえ。
それに客が目を逸らしながら早足で通り過ぎていくような…。
ははっ、それほどの美しさとは…我ながら参った参った…。