>>481
〜薩摩・内城〜

アルメイダ「では、病院のことは良いお返事を待っておりますぞ。」

アルメイダ「なるほど、神学教育に関していえば、殿のご心配はもっともでございます。」
---------「しかし、殿はどうやら幾らでも改善できる弊害のみを見て、」
---------「その利点を見ておられないようにもお見受けいたしますな。」

アルメイダ「まず、神学教育が施された生徒のうち、能力のある者は」
---------「はるか西欧に留学生として派遣されることが可能ですゆえ、」
---------「将来の島津家とヨーロッパの橋渡しとなりえるのでございます。」
---------「ただヨーロッパの物品を貿易で手に入れるのみか、」
---------「実際にその文化を肌で感じ、帰国後島津家のために役立てるか。」
---------「その差は至極大きなものになるとは考えられませんかな?」

アルメイダ「また、宗教を信仰することは即ち領主に従わなくなることに繋がるかといえば、」
---------「そういうわけではないのでございます。」
---------「何も心に支えが無い子供は、困窮から脱し、生き延びるために」
---------「どのような罪をも罪悪感を感じることなく犯しますでしょう。」
---------「しかし、基督教を信仰しておれば『いつか救われる』という希望のもとに行動するため」
---------「貧しくとも自ら行動を律し、教義を守ることで品行も正しくなるのでございます。」

アルメイダ「冷静にお考えくだされ。ヨーロッパの民は一様に基督教を信仰しておりますが、」
---------「領主が悪政を行わぬ限り、自然一揆を企てることなどございませんでしょう。」

アルメイダ「いかがでございましょう、決して殿に仇なすことは無いと存じますが…」